競技団体への伴走支援により実現した座位ビーチバレーボール大会~スポーツ・インテグリティ推進事業~

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スポーツ庁は中央競技団体のガバナンス確保、向上をサポートするため、「スポーツ・インテグリティ推進事業」を行っています。その一環として、一般社団法人日本デフビーチバレーボール協会(以下、日本デフビーチバレーボール協会)と一般社団法人日本パラバレーボール協会(以下、日本パラバレーボール協会)の連携による取組の実現に向けた伴走支援を実施しました。

その成果として、令和8年3月7日、大分県大分市の田ノ浦ビーチにおいて、障害の有無や年齢、性別を問わないインクルーシブな「座位ビーチバレーボール大会」を開催しました。

本記事では、大会の様子とともに、スポーツ庁が伴走支援を行った背景やその具体的な取組、得られた成果について紹介します。

スポーツ・インテグリティ推進事業とは

「インテグリティ(Integrity)」とは、誠実性や健全性、高潔性を意味する言葉です。スポーツにおけるインテグリティは、フェアプレーの精神や組織のガバナンス、アンチ・ドーピングへの取組など、スポーツそのものの価値を守るための姿勢を指します。

スポーツ庁は、こうしたスポーツ・インテグリティの向上、クリーンでフェアなスポーツ環境を実現することを目的として、中央競技団体を対象に、以下の4つを柱とした「スポーツ・インテグリティ推進事業」を実施しています。

1. スポーツ団体ガバナンスコードの実効化に向けた支援
スポーツ団体ガバナンスコードの説明会やワークショップの開催を通じて、各競技団体の実情に応じたガバナンス体制の構築を促進する
2. 中央競技団体における多様な人材の配置促進
女性をはじめとする多様な人材を役員などに配置し、透明性の高い組織運営が行われるよう、中央競技団体とスポーツ界で活躍したい人材のマッチング支援を実施する
3. 中央競技団体間の連携・統合に向けた環境整備
競技団体間の連携や統合を検討する団体に対して、検討プロセスや効果の共有を目的とした説明会やワークショップを開催するとともに、検討事例の具体化に向けた支援を実施する
4. 脆弱な中央競技団体の自走化に向けた組織基盤整備
脆弱な中央競技団体の持続可能な組織運営の実現に向けて、中長期計画の策定や民間企業などとの協働に向けた事業検討を支援する

本記事で紹介する日本デフビーチバレーボール協会と日本パラバレーボール協会の連携は、「3. 中央競技団体間の連携・統合に向けた環境整備」の支援事例にあたります。

伴走支援の背景と日本デフビーチバレーボール協会の課題

令和5年度にスポーツ庁が実施した調査では、多くの中央競技団体が少人数で運営されており約4割の団体が直近の年度で支出超過の状態にあることが判明しました。こうした人材・資金の制約の中で、新たな施策の実施や組織の基盤強化を図るため、競技団体間の連携や統合を希望する団体があることも確認されています。

調査の詳細は、以下の資料からご確認ください。
令和5年度スポーツ・インテグリティ推進事業「スポーツ団体間の連携・統合に向けた環境整備」委託事業成果報告書

この調査結果を踏まえ、スポーツ庁は令和6年度に競技団体間の連携・統合を後押しするための伴走支援先団公募を行い、審査の結果、日本デフビーチバレーボール協会を選定しました。

同協会は日本パラバレーボール協会との連携を想定し、以下の実現を目指していました。

  • 年齢や障害の有無を問わないノーマライゼーションの実現
  • パラスポーツの取組推進に向けた、聴覚障害以外の方も対象とした大会の開催
  • 上記取組の推進に向けた競技団体間の連携強化

日本デフビーチバレーボール協会は、設立以来「ノーマライゼーション」を理念に掲げ、これまでもビーチバレーボールの体験会やイベントを通じて理念の実現を図ってきましたが、本事業においては、障害の有無や種別によらず様々な方が参加できる「座位」バレーボールイベントの実施を見据え、競技ルールや大会運営に知見がある日本パラバレーボール協会からの助言を求めていました。

デフビーチバレーボールとパラバレーボール

デフビーチバレーボールは、聴覚障害のある選手が1チーム2名で行うビーチバレーボールです。健常者のビーチバレーボールと基本的に同じ競技ルールで行われますが、審判の合図を視覚的サインで示すなど、聴覚に頼らない情報伝達が特徴です。

一方、パラバレーボールは、主に肢体に障害がある選手が行う競技の総称であり、その中でも座位バレーボールはパラリンピックの正式種目です。1チーム6名がコートに座った状態でプレーし、アタックやブロックの際に臀部をコートから離さないなど、パラバレーボールならではのルールが設けられています。

連携は容易ではなかった。対話を積み重ねた9ヶ月

日本デフビーチバレーボール協会と日本パラバレーボール協会は、「バレーボールを通じた共生社会の実現」という共通のビジョンを持っていましたが、事業連携の目的に違いがあり、連携の実現には課題がありました。

スポーツ庁は伴走支援者として両団体の間に立ち、当事者だけでは伝えにくい懸念点や調整事項の整理によって合意形成の支援を行うとともに、両団体が得られるメリットを具体的に提示しました。

約9ヶ月間にわたって対話を重ねた結果、障害の有無や年齢、性別を問わない座位ビーチバレーボール大会の開催という形で連携が実現しました。

また、両団体の意思決定者が初期段階から協議に参画していたことも、スピーディな合意形成につながりました。

日本デフビーチバレーボール協会のメリット

  • 国内で例がない座位ビーチバレーボールの公式大会を新設できる
  • 国際的な競技ルールや、聴覚以外の障害がある方への配慮など、座位ビーチバレーボール大会の開催に向けて日本パラバレーボール協会から助言が得られる
  • スポーツ庁のSNSアカウント等を通じた情報発信により、自団体が持つネットワーク以外にも取組を周知することができる

日本パラバレーボール協会のメリット

  • 座位バレーボールの統括団体として、これまで取組ができていないビーチでの活動実績をつくることができる
  • スポーツ庁のSNSアカウント等を通じた情報発信により、自団体が持つネットワーク以外にも取組を周知することができる
  • 将来的に、日本デフビーチバレーボール協会のノウハウを活かしたビーチでのクロストレーニングなどの実施を通じて、選手強化の相乗効果が期待できる

砂浜で、誰もが同じ目線で競う。座位ビーチバレーボール大会2026の開催

令和8年3月7日、日本デフビーチバレーボール協会が主催し、日本パラバレーボール協会が協力した座位ビーチバレーボール大会2026が開催されました。大会の概要は以下のとおりです。

項目 内容
開催日 2026年3月7日
会場 田ノ浦ビーチ(大分県大分市)
主催 日本デフビーチバレーボール協会
協力 日本パラバレーボール協会
競技種別 座位ビーチバレーボール(1チーム3人制)
ルール World ParaVolley(WPV) Sitting Beach Volleyball Rules(最新国際規則)に準拠
参加資格 障害の有無は不問、小学生以上(推奨)、初心者歓迎
参加者数 4チーム15名

座位ビーチバレーボール大会2026の会場の様子を示した画像

誰もが参加でき、誰にでも勝つ可能性のあるユニバーサルスポーツ

本大会では、「ユニバーサルスポーツ」をコンセプトに掲げ、聴覚障害のある選手、肢体が不自由な選手、障害のない選手といった全ての参加者が座位でプレーをすることで、同じ条件で競い合えるようなルールが採用されました。

2チームが座位ビーチバレーボールをプレーしている画像 プレー中、1チーム3名がタッチを交わしている画像

大会後のアンケートでは、参加者全員が「障害の有無や性別・年齢の区別なくスポーツを楽しめた」と回答し、周囲への推奨意欲も高い結果となりました。さらに、今後の大会への参加意欲から継続開催へのニーズも確認され、競技普及やインクルーシブ教育の観点から、中長期的な展開の可能性が示されました。

大会に対する所感に関する質問に対して、「とても楽しめた」の割合が93%であることを示しているグラフ画像 今後の大会への参加意欲に関する質問に対して、「とても参加したい」の割合が93%であることを示しているグラフ画像

大会開催は「ゴール」ではなく「スタート」。事業連携の成果とこの先の可能性

日本デフビーチバレーボール協会の未来につながる成果

日本デフビーチバレーボール協会は、理念である「ノーマライゼーション」の実現に向け、国内初となる座位ビーチバレーボールの公式大会を開催し、競技としての信頼性や社会的価値を高める大きな一歩を踏み出しました。

大会を通じて創出された成果やユニバーサルスポーツへのニーズなどを整理し、民間企業や関係団体へ訴求することで、スポンサー獲得や協働の輪が広がる可能性があり、単発のイベントにとどまらず、大会の継続開催や参加者数の拡大といった競技のさらなる発展へとつなげていくことが期待されます。

日本パラバレーボール協会の未来につながる成果

日本パラバレーボール協会は、パラバレーボールにおける国内の統括団体として、国内初となる座位ビーチバレーボール大会の運営に関与し、日本デフビーチバレーボール協会と連携しながら、新たな競技領域における実績を確立しました。

また、本大会の開催地が、これまで日本パラバレーボール協会の登録都道府県ではなかった大分県であったことから、新たなエリアにおける競技普及の契機を創出しました。

今後は、大会の継続的な開催を通じて未発掘の選手層へのアプローチや選手育成機会の拡大が見込まれ、競技力向上と裾野拡大の双方に寄与する取組へと発展していくことが期待されます。

日本デフビーチバレーボール協会と日本パラバレーボール協会の事業連携で、短期的、中長期的な目標を示した画像

まとめ

本取組は、競技団体間の連携を通じてインクルーシブなスポーツ機会を創出するとともに、両団体のガバナンス強化に向けた契機となりました。

スポーツ庁はこれからも競技団体間の連携・統合を検討する団体に対して支援を行いながら、それぞれの団体が持続的に発展できる環境整備を推進していきます。

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