運動・スポーツに関わる“すべて”の人の安全のために 〜運動・スポーツ中の安全対策の評価・改善のためのガイドライン〜

運動・スポーツに関わる“すべて”の人の安全のために 〜運動・スポーツ中の安全対策の評価・改善のためのガイドライン〜

ケガ、熱中症、突然の体調不良…スポーツの現場には“避けたいリスク”が多くあります。このようなリスクを減らすために必要なポイントをまとめたのが今回スポーツ庁においてとりまとめた「運動・スポーツ中の安全対策の評価・改善のためのガイドライン(試行版)」です。

運動やスポーツを楽しむためには、「ケガや事故をどう防ぐか」「暴力・ハラスメントからどう守るか」といった安全への配慮が欠かせません。これまでもスポーツを行う人の安全確保に向けたさまざまな取組が行われてきましたが、運動・スポーツ中の事故は依然として発生しています。
そこで、スポーツ庁では、運動・スポーツに関わる団体や個人が、安全対策の評価・改善に取り組めるよう、新たにガイドラインをとりまとめました。今回、そのガイドラインが公開されましたので、ご紹介します。

運動・スポーツ中の事故の発生状況と傾向

運動・スポーツ中の事故について、さまざまな活動が行われている中で、全てを網羅した統計はありませんが、最も代表的なものとして、学校等の児童・生徒等を対象とする災害共済給付及び団体による運動・スポーツ活動を対象とするスポーツ安全保険の給付データによれば、2023年度の給付件数は以下のとおりとなっており、依然として多数の事故が発生しています。

令和5年度におけるスポーツ中の事故の発生件数:表表:令和5年度におけるスポーツ中の事故の発生件数

また、スポーツ安全保険の加入者における事故の発生率(加入者数に対する給付件数の割合)は、以下のとおりで、過去3年間でみると、発生率は年々上昇する傾向がみられています。

過去3年間におけるスポーツ中の事故発生率推移:グラフグラフ:過去3年間におけるスポーツ中の事故発生率推移

スポーツ関係者による検討会を重ねてガイドラインを作成

運動・スポーツ中の事故防止・安全確保について、これまで国として、地方公共団体やスポーツ関係団体向けに登山や水泳の事故防止、熱中症防止等の通知を出して、個別に取組を求めてきましたが、運動・スポーツ中の事故防止の対策を包括的に求めるガイドライン等はこれまで作成していませんでした。

このため、スポーツ庁は、スポーツ関係団体、有識者、関係省庁等の協力を得て、検討会を開催し、運動・スポーツ中の安全確保に関する現状・課題を整理し、検討結果をもとにガイドライン「運動・スポーツ中の安全対策の評価・改善のためのガイドライン(試行版)」(※)をとりまとめました。

※運動・スポーツ中の安全確保対策の評価・改善のためのガイドライン(試行版)
https://www.mext.go.jp/sports/content/20251112-spt_kensport01-000045787_3.pdf

「運動・スポーツ中の安全対策の評価・改善のためのガイドライン(試行版)」は、運動・スポーツに関わる組織や個人が、科学的知見に基づき、常に必要な知見を更新して、安全対策の評価・改善を図っていくことを支援するため、各競技が共通して必要となる事故防止対策や暴力・ハラスメント防止対策をとりまとめたものとなります。

ガイドラインは、すべての実施を求めるものではなく、各自の状況に応じて可能な範囲での取組を推奨するものとなります。

ガイドラインは対象者別に5分冊で構成

このガイドラインは、特定の年齢や性別、国籍、障害の有無、またプロ・アマチュアの区別なく、すべての方が幅広くご利用いただける内容となっています。スポーツ競技はもちろん、ダンスやレクリエーションスポーツなど、さまざまな運動・スポーツ活動にお役立ていただけます。また、現場での使いやすさを重視し、すべてのスポーツに関係する人が運動・スポーツの現場でそのまま活用できるよう、「実施者」「指導者」「主催者」「運営者」「設置・管理運営者」と、以下の5つの立場ごとに内容を分冊化しています。より、現場で本ガイドラインを身近に、かつ効果的に使いやすいよう、ガイドラインの要点をまとめた「チェックリスト」が利用できます。

  1. 運動・スポーツを実施する個人向け
  2. 運動・スポーツの指導者向け
  3. 運動・スポーツに関する大会・イベント等の主催者向け
  4. 運動・スポーツ活動の運営者向け
  5. 運動・スポーツ関連施設の設置・管理運営者向け

ガイドラインでは、すべての運動・スポーツに共通する予防のための取組や留意点として、主に以下の内容が記載されています。

  1. 日常的な体づくりや準備運動・体調調整の重要性
  2. 重篤な外傷・障害等を防ぐための具体的な対策
  3. 用具・道具を使用する際の留意事項や保護具・安全装備の活用
  4. こども、女性、疾病罹患者、障害者等に関する留意事項
  5. 熱中症を防止するための対策やその他の自然環境要因の事故防止対策
  6. 指導者に必要な知識や指導上の留意事項(正しい科学的知見に基づく指導、必要以上に強度の高いトレーニングや練習を強要することの禁止など)
  7. 大会・イベント開催時の留意事項(事故防止のための競技ルール設定、熱中症予防に配慮した開催時期・開催時間帯の設定、屋外の大会における対策など)
  8. 運動・スポーツ活動の運営者が留意すべき事項(適切な指導者の配置など)
  9. 運動・スポーツ施設の設置・管理運営者が留意すべき事項(設計段階からの安全性確保、定期的な点検・補修、適切な現場管理、プール等の特定の施設の留意事項など)
  10. 事故が発生した場合の対応(応急手当など)
  11. 暴力・ハラスメント行為を防止するための対策(防止対策の重要性、暴力・ハラスメントに該当する行為、運動・スポーツにおける発生要因、事案発生時の対応など)

まとめ

本ガイドラインは、運動・スポーツ現場における安全対策を体系的に整理し、評価と改善を繰り返す「仕組み」を定着させたいという考えがあります。また、新たな科学的知見や時代の潮流などに合わせて、アップデートしていくものです。運動・スポーツをする人をはじめすべての運動・スポーツの関係者が安全にスポーツをするための対策の共通認識を持つことで、安全・安心にスポーツができる環境を現場に根づかせることを目指しています。

ぜひ、ガイドライン及びチェックリストを活用いただくとともに、多くの関係者に広めていただき、運動・スポーツ現場で活用されることを願っています。スポーツ庁では、誰もが安全に運動・スポーツを楽しめる環境づくりに向けた取組を推進してまいります。

●本記事は以下の資料を参照しています

スポーツ庁 - 「運動・スポーツの安全対策の評価・改善のためのガイドライン(試行版)」を策定しました(2026-02-01閲覧)
スポーツ庁 - スポーツの事故防止について(2026-02-01閲覧)

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