地域が取り組む、部活動改革の現場を河合長官が視察! 〜東京都渋谷区/長野県南佐久郡〜

地域が取り組む、部活動改革の現場を河合長官が視察! 〜東京都渋谷区/長野県南佐久郡〜

現在、全国の学校で展開されている「部活動改革」では、地域の指導者や団体、施設等を活用した部活動の「地域展開」が進められ、持続可能な活動体制の構築が図られています。今回、河合スポーツ庁長官は、部活動地域展開に取り組む2つの自治体を訪れ、部活動改革を進める上で重要なポイントなど現場の“リアル”な声を聞きました。

地域特性の異なる2つの自治体を視察

スポーツ庁は、少子化や学校現場を取り巻く環境の変化を踏まえ、生徒がスポーツ活動に親しむ機会を将来にわたって確保することを目的に、部活動改革に取り組んでいます。
地域ごとに学校部活動を取り巻く状況や地域資源の状況等が異なるため、部活動改革においては、地域の実情に応じた多様な改革を進めることが重要です。
今回、河合長官は、都市部の「東京都渋谷区」、地方の中山間地域である「長野県南佐久郡」と地域特性の異なる2つの自治体を視察しました。

新しい部活のカタチを目指す「シブヤ部活動改革プロジェクト」(東京都渋谷区)

渋谷区では、渋谷区スポーツ協会と連携し、学校部活動の地域連携を進める部活動改革推進校事業と、学校部活動にはなかった種目を地域クラブ活動として実施するシブヤユナイテッド事業の2つを並行して行っています。
部活動改革推進校事業では、中学校の部活動に対して専門的な指導者等を配置するとともに、複数校の生徒が一緒に活動する合同部活動を実施し、ユナイテッドクラブでは、生徒のニーズに応えるため、フェンシング、ストリートスポーツ、ボッチャなど従来の学校部活動にはない種目を実施しています。
河合長官は2025年12月に渋谷区立小中学校青山キャンパスを訪問し、渋谷区の部活動の地域展開・地域連携に関するこれまでの経過・今後の方向性について説明を受けたのち、地域展開による効果や課題等について意見交換を行いました。
その後、地域クラブ活動(フェンシング)と学校部活動の合同練習(バスケットボール)を視察し子供たちが笑顔で活動している様子や生徒・指導者等との対話を通じて取組の様子を確認しました。

学校部活動の合同練習(バスケットボール):イメージ

地域内の連携をスムーズに行うための工夫

渋谷区では「シブヤ部活動改革プロジェクト」と題して、2021年度から部活動の地域展開に取り組んでいます。当初は、学校によって設置されている部活動の種目が限定され、生徒が希望する種目が必ずしも整っておらず、生徒のニーズに応え切れていない状況でした。また教師の負担軽減など学校の働き方改革も大きな課題となっていました。

部活動の地域展開にあたり、渋谷区では、地域の住民、団体、企業、研究機関などと連携した“生徒センタード”の体制構築を目指し、関係者間の連絡や調整を行うスーパーバイザーやクラブマネージャーなどのマネジメント人材を登用しました。各校に配置されたスーパーバイザーが、学校と教師、クラブマネージャーとの情報のハブ役となり、クラブマネージャーは、指導者との連絡やクラブ運営の事務業務などスーパーバイザーの補佐役を担います。
また、顧問と指導者、マネジメント人材等が情報共有を行う「ユナイテッドルーム」を設置し、競技を超えた知見共有や、学校間の垣根を超えた研修などを行っています。

今後、週末に限らず平日を含めた活動へ展開していき、複数のスポーツ・文化芸術活動に参加できる地域クラブ活動として、豊かなスポーツライフ創造に向けて取組を進めていく計画で、将来的には多世代が参加できる総合型地域クラブを視野に入れているそうです。

地域展開による効果や課題等について意見交換:イメージ

複数の町村で取り組む部活動の地域展開(長野県南佐久郡)

長野県東部の南佐久郡では、佐久穂町・小海町・南相木村・北相木村・南牧村・川上村の6町村が連携し、部活動の地域クラブ活動への展開を段階的に進めています。
複数の町村が協力することで、参加者や指導者の確保が可能となり、運営の効率化も実現しています。
これにより、人口規模の小さな地域においても、持続可能な活動体制を構築することができています。
2026年1月、河合長官は長野県南佐久郡を訪れ、卓球、女子バレーボール、女子バスケットボールの順に休日の地域クラブ活動を視察し、子供たちが生き生きと活動する様子に触れるとともに、生徒・指導者との対話を通じて取組状況を確認しました。
その後、南佐久郡の部活動の地域展開に関するこれまでの経過・今後の方向性について説明を受け、複数の自治体が連携して地域展開に取り組むことによる効果や課題などについて意見交換を行いました。

河合長官は長野県南佐久郡を訪れ、休日の地域クラブ活動を視察:イメージ

子供たちにやりたいことをやらせたい

南佐久郡では、現在、中学校5校、計9つのクラブが、休日は地域クラブ活動として実施し、参加生徒数は153名、指導者数は45名にのぼります。
部活動地域展開に取り組み始めたのは2020年度。教育委員と校長の合同研修会で、中学校の女子バレーボールが3人で活動している現実を目の当たりにし、大人たちが大きなショックを受けたことがきっかけです。

教育長会や校長会、教育委員会などが課題を整理し、「子供たちのために」という思いで粘り強く議論を重ねることで、2021年度には、拠点校方式の部活動を行いつつ、段階的な地域展開を目指すという方向性を定め、2022年度からは子供たちの意識調査アンケートの結果を踏まえて、男女卓球、サッカー、男子バスケットボール、女子バスケットボールの4つで合同部活動を実施しました。

こうした試行的な取組を含む2年以上の準備期間を経て、2023年度からは、休日の部活動の地域展開を本格的に開始しました。
年々、地域指導者の割合も増加し、また、地域クラブ活動の実施に伴い、生徒が選択できる種目が7種目から12種目へと増えたことで、生徒の加入率が増加した中学校もあります。

生徒の移動手段の確保など課題も多くありますが、担当者は「南佐久の地域展開は、教育長や中学校の校長先生方の大きな支援によって進められている。引き続き子供たちがやりたいことを、子供たち自身が主役となって継続できるよう取り組みたい」と語りました。

南佐久郡の部活動の地域展開について、これまでの経過と今後の方向性を共有し、自治体連携の効果や課題を話し合いました:イメージ

子供たちがスポーツを通じて充実感を得られる環境づくりに全力を尽くしたい

河合長官は1月の記者懇談会で、東京都渋谷区と長野県南佐久郡での部活動改革や地域クラブ活動の視察について、以下のように語りました。

「今までの部活動と同じように子供たちがスポーツを通じて、やはり笑顔で楽しみながらも充実感を得ている、そういった姿を確認することもできましたし、直接言葉を交わしながら意見や思いをお聞きすることもできたと考えています。こういった環境を全国津々浦々で、準備できるよう、地域の皆さんと連携をしながら、我々としてもこの環境づくりに全力を尽くしてまいりたいと思っております。」

スポーツ庁は、令和8年度から新たに「改革実行期間」がスタートすることを踏まえ、昨年12月に新たなガイドラインを策定しました。
また、2025年度補正予算及び2026年度予算案にスポーツ・文化合わせて計139億円を計上し、新たな補助制度の創設等を行うこととしています。
部活動の地域展開等は、地域の様々な関係者が連携・協働し、子供たちにとってより良いスポーツ環境を未来へ繋ぐ取組です。
スポーツ庁としても部活動の地域展開等の全国的な実施に取り組んでまいります。

―「部活動が変わる、未来が広がる。」

●本記事は以下の資料を参照しています

スポーツ庁 - 部活動改革に関する新たなガイドライン(2026-02-01閲覧)
スポーツ庁 - 部活動改革ポータルサイト ~子供たちのスポーツ活動の充実に向けた未来への挑戦~(2026-02-01閲覧)

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