「40万」人もの外国人が日本へ!ラグビーワールドカップ2019™ でホスト国に期待される効果とは?

ラグビーワールドカップ2019

前回大会である「ラグビーワールドカップ2015」で日本が南アフリカを下した試合は、「史上最大の番狂わせ」と言われるほど衝撃的かつ歴史的な好ゲームとなりました。日本はこの試合を含めて3勝しながらもプール戦敗退という残念な結果に終わりましたが、今から1年後に迫ったラグビーワールドカップ2019では、初の決勝トーナメント進出を目指します。 日本代表の戦いぶりと同時に注目が集まっているのが「開催国」としての日本の取組。アジア初開催となるラグビーの祭典は、ホスト国にいったいどんな効果をもたらすのでしょうか?

日本人が意外と知らないラグビーの魅力

ラグビーの魅力とは?

ラグビーは日本ではまだまだマイナースポーツですが、世界的に見れば高い人気を誇るメジャースポーツの一つです。発祥の地であるイングランドをはじめ、スコットランド、ウェールズ、アイルランド、フランスなどのヨーロッパ諸国、またニュージーランドやオーストラリア、南アフリカ、アルゼンチンなどの南半球の国々では、多くの人々に愛されています。

体格的に劣る日本人には「不利なスポーツ」と言われることもあるラグビーですが、前回大会の日本代表は、日本人ならではの強みを生かして勝機を見出し、ラグビーというスポーツの醍醐味をあらためて思い出させてくれました。ラグビーワールドカップ2019でも、「One for all, All for one」の精神が、きっと見る人に興奮と感動を与えてくれるでしょう。

ラグビーワールドカップは世界で3番目のスポーツイベント!

ラグビーワールドカップ

ラグビーワールドカップは、入場者数などで、サッカーW杯、夏季五輪に次ぐ「世界で3番目に大きなスポーツイベント」と言われています。前回のラグビーワールドカップでは約247万人がスタジアムを訪れ、40億人を超える人々がテレビを視聴。40万6,000人の訪問者が平均14日間イングランドに滞在し、総額で23億ポンド(当時の為替で4,000億円程度)にも上る経済効果を生み出しました。

1987年に行われた第1回と前回のラグビーワールドカップを比較すると、チケット販売枚数は60万枚から247万枚、テレビ視聴者数は2.3億人から40億人と、大会を重ねるにつれて規模・人気が拡大していることが分かります。

ちなみに、日本で開催されるラグビーワールドカップ2019のセット券チケット販売では、約30万枚のチケットに対して世界101の国・地域から約86万4,000枚の申込みが殺到し、最高の抽選倍率は34倍にもなりました。大会公式ボランティアは、約10,000人の募集に対して38,000人を超える応募がありました。「観戦したい」「参加したい」という人が多く、注目度の高さが伺えます。

ラグビーワールドカップ「自国開催」によってもたらされるもの

ラグビーワールドカップ2019

ラグビーワールドカップ2019は、全国12開催都市(札幌市、岩手県・釜石市、埼玉県・熊谷市、東京都、神奈川県・横浜市、静岡県、愛知県・豊田市、大阪府・東大阪市、神戸市、福岡県・福岡市、熊本県・熊本市、大分県)で、約7週間(2019年9月20日~11月2日)にわたって開催されます。

この大舞台で「世界最高峰の試合」を目にすることで、はじめてラグビーというスポーツの魅力に触れる人も多いはず。大会の開催を契機に、ラグビー人気の高まりや観戦人口・競技人口の増加などが期待されます。

またラグビーワールドカップは、国際交流の振興においても有効なきっかけになります。ラグビーの試合終了を表す「ノーサイド」という言葉には、試合が終わったら敵も味方も関係なく、お互いの健闘をたたえ合うという意味があります。ノーサイドの精神で諸外国の方たちと感動を共有できれば、そこから豊かな国際交流が生まれるかもしれません。

経済効果は過去に例を見ないレベル!?

アジア初のラグビーワールドカップのホスト国として大きな期待が寄せられているのが「経済効果」です。公益財団法人ラグビーワールドカップ2019組織委員会がまとめた「ラグビーワールドカップ2019 大会前経済効果分析レポート」では、以下のような予測がなされています。

  • 大会が創出する経済波及効果の総額は約4,372億円
  • 国のGDPに対する増加額は2,166億円
  • 大会を目的にした訪日外国人客は最大40万人
  • スタジアムで観戦するファンは180万人
  • 訪日外国人の旅費・宿泊費などによる直接的な経済効果は1,057億円
  • 税収拡大効果は216億円

国内客と訪日外国人客の観光における支出は、開催都市を中心とする全国各地に経済の活性化をもたらすでしょう。また、将来を見据えたインフラ整備や、訪日外国人への“おもてなし”の仕方によっては、大会後も継続的な経済効果を創出する機会となるはずです。

どの都市にもチャンスあり!経済効果の拡大のために

ラグビーワールドカップ観戦

ラグビーワールドカップの特徴の一つとして、開催期間が長いことが挙げられます。サッカーW杯は32日間、夏季五輪は通常17日間であるのに対し、ラグビーワールドカップ2019は44日間。訪日外国人は試合観戦を大きな目的としていますが、ラグビー観戦以外にも「第2・第3の目的」を持ってやって来るはずです。

具体的にオーストラリア人が訪れる場合で考えてみましょう。

オーストラリア代表のプール戦は、9/21(札幌市)、9/29(東京都)、10/5(大分県)、10/11(静岡県)というスケジュールが組まれており、この4試合を観戦するために彼らは全国を移動します。毎日試合を観るわけではないため、「試合観戦をしない日をどう過ごすか?」は、彼らにとって重要なテーマになってくるはずです。

当然、移動中に少し足を伸ばして観光、レジャー、食べ歩き、スポーツなどを楽しむような動きも予測されます。訪日外国人を迎えるホスト国としては、試合と試合の間に、彼らを惹き付ける魅力的な観光コンテンツを用意することが重要になるでしょう。

各国の訪日外国人の移動ルートを計算に入れながら、彼らの滞在長期化・消費刺激を狙ったマーケティングの戦略を練ることで、経済効果の拡大が期待できます。国土の狭い日本だからこそ、開催都市に限らず、全国どこの都市にもチャンスがあると言えます。

ファンゾーンでは地域の特色を生かしたコンテンツを!

開催都市にフォーカスすると、大会期間中スタジアム周辺には「ファンゾーン」と呼ばれるエリアが設けられます。ファンゾーンの代表的な機能はパブリックビューイングであり、スタジアムに入らなくても大会の雰囲気を味わえる場所と言えますが、ここにも消費を刺激するチャンスはたくさんあります。ファンゾーンで地域の特色を生かした魅力あるコンテンツを展開できれば、経済効果のさらなる拡大が見込めるでしょう。

ラグビーワールドカップを通じた地域活性化への取組事例

神奈川県横浜市

横浜国際総合競技場

ラグビーワールドカップ2019の準決勝・決勝が行われるのは、横浜国際総合競技場(神奈川県横浜市)です。鎌倉、小田原、箱根などの観光地が有名な神奈川県では、ラグビーワールドカップ観戦者に県内各地を観光してもらうため、1,000本もの多彩な周遊ツアーの企画・商品化に取組んでいます。

また既存の観光地だけでなく、ガイドブックに載っていない新たな観光資源の発掘も重要なテーマです。それらを魅力ある観光資源に磨き上げ、モデルルートに反映するなどの取組を行っています。

岩手県釜石市

釜石鵜住居復興スタジアム

開催都市の一つである岩手県釜石市では、ラグビーワールドカップ開催にあたって唯一、スタジアムを新設する都市です(釜石鵜住居復興スタジアム/2018年8月竣工)。ラグビーワールドカップ2019での利用はもちろん、大会後の多様な公園利用を想定し、大規模イベントの開催にも対応できる施設でありながらも、市民が日常的に利用できる交流拠点として永く地域に親しまれる公園づくりを目指しています。

また、釜石市では訪日外国人の利便性および満足度の向上のため、観光スポットや商業施設などに多言語通訳・翻訳アプリケーションを備えた情報端末・電子案内板の整備も進めています。

まとめ

2019年9月20日に開催予定のラグビーワールドカップ2019は、今から1年後に迫っています。アジア初の開催国として、ラグビーの魅力をアジア全体に広げるのはもちろん、訪日外国人をおもてなしする環境を整え、観光資源の再開発に取組み、また地方のスポーツツーリズムを活性化することで、継続的な訪日外国人の獲得につなげていきたいと考えています。

ラグビーワールドカップ2019の公式キャッチコピーは、「4年に一度じゃない。一生に一度だ。」──国際的な注目が集まる、ラグビーとホスト国の祭典に、あなたはどのように関わり、どんな楽しみ方をしますか?

※本記事は以下の資料を参照しています

・スポーツ庁 - ラグビーワールドカップ2019日本大会 ファクトブック(2018-09-01閲覧)(PDF)
・スポーツ庁 - ラグビーワールドカップ2019 大会前経済効果分析レポート(2018-09-01閲覧)(PDF)
・ラグビーワールドカップ2019(2018-09-01閲覧)

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