今年度は福井県で開催! 「73」年の歴史と伝統を誇る「国民体育大会」とは?

73年の歴史を誇る国体とは?

今年で73回目を数える国民体育大会(以下、国体)が、9月より福井県で行われます。今年、日本体育協会から名称変更した日本スポーツ協会、文部科学省および開催地都道府県が主催する同大会は、毎年都道府県持ち回りで実施されており、地域のスポーツ推進とジュニアアスリートの育成を含む競技力向上に寄与しています。国体とはいったいどんな大会なのでしょうか。具体的にご紹介します。

 「国民体育大会」の魅力、あなたは知っていますか?

国体 愛媛開会式

昭和21(1946)年に、京都府を中心とした京阪神地域で第1回大会が開催され、以降、毎年各都道府県の持ち回りで開催されている国体。開催の内々定を受けた各都道府県は、実に10年以上かけて準備に取組みます。地域に根差した国体を開催することで、全国の人に各都道府県のことを深く知ってもらうだけでなく、地域スポーツの普及・推進や人材育成を目指しています。

国体は、夏・秋季に開催する「本大会」と冬季に開催する「冬季大会」の2つの大会があり、合わせて40競技を実施。都道府県予選大会、ブロック大会を勝ち上がってきた約2万6000人の参加者が集う全国大会です。成年種別(18歳以上)と少年種別に分かれており、基本的には高校生(15歳)からの参加が可能。都道府県対抗でポイントを競い合い、男女総合成績優勝都道府県には天皇杯が、女子総合成績優勝都道府県には皇后杯が授与されます。都道府県対抗で行う目的は、各地域における選手や指導者の育成・強化の推進です。また、より多くの人にスポーツへの興味をもってもらうために、選手だけでなくボランティアや運営に携わる人を募ることも国体のレガシーの1つといえるでしょう。

国体には、水泳や陸上競技をはじめ、競技によってはオリンピック・パラリンピックなどで活躍するトップアスリートも参加します。昨年は、リオ・オリンピックの男子陸上400mリレーで見事銀メダルを獲得した山縣亮太選手や桐生祥秀選手が出場し、競技会場は大いに盛り上がりました。

推し進められてきた国体改革の今後の動向は?

日本スポーツ協会は、平成15(2003)年に「国体改革2003」を公表。大会運営の簡素化・効率化と大会の充実・活性化を目指して、国体改革を推進してきました。平成25(2013)年には「21世紀の国体像~国体ムーブメントの推進~」を策定し、国体のさらなる価値向上に向けて取組んできました。

国体 女子種別

改革において主に取組まれてきたのが、女子種別と少年種別の充実・拡大です。女子種別については、現段階では男子のみの種目もあるため、各競技団体と連携し、女子種別を導入して「各競技に男女が参加できること」を目指しています。たとえば、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を見据え、これまで実施していなかったボクシングやレスリング、7人制ラグビーなどの女子種別を設けました。国体の正式競技に導入することで、その競技のさらなる発展と選手育成を狙っています。

また、少年種別については参加人数の拡充だけでなく、年齢区分の見直しも進めています。これまで高校生からのエントリーとなっていた少年種別では、中学3年生からエントリーできる競技も増えてきました。中学3年生が入ることでU-14といった国際基準の年齢カテゴリに則った競技力の向上・強化をスムーズに進むことが狙いです。競技によっては、さらに低年齢からの出場を求める声が上がっている一方、学業との兼ね合いや心身の発育・発達など総合的に考えて慎重に話を進めているといいます。

近年は、水上競技でも観客が観戦できるようパブリックビューイングを行ったり、音楽を流して会場を盛り上げたり、解説者を呼んで競技の解説をしたりと、現場でスポーツを楽しく「みる」ための工夫も多く取入れられています。2020年のビックイベントに向けて、このような取組は増えてくると予想されています。

また、国体は2023年から大会名称が「国民スポーツ大会(国スポ)」に変わります。名称とともに国体が国内のさらなる競技力強化や普及につながるよう、改革を重ねて年々進化することが期待されます。

 今年度は福井県で開催!全市町で繰り広げられる戦いに注目

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開催都道府県は、国体を通じて毎年さまざまな形で地元をPRします。全国の人に地元を知ってもらう大きなチャンスだからです。第73回となる今年度の開催県は、福井県。県内の17市町それぞれで、いずれかの正式競技が行われます。全国から訪れる多くの人が各地域に足を運ぶことが予想されるため、福井県の認知度を高めることにもつながります。

大会の愛称は「福井しあわせ元気国体」。“幸福度日本一”といわれる福井県で、「県民の元気と創意を結集し、しあわせを感じ、元気あふれる大会を創り上げるとともに、全国からの参加者を温かい心でもてなし、交流を通じてしあわせと元気を全国に発信すること」としています。

また、通常は国体の後に開催される「全国障害者スポーツ大会」の一部(車いすバスケットボールなど)が、国体の会期中に行われます。国体と障害者スポーツ大会との〝融合″は史上初の試みで、今大会の特徴の1つといえるでしょう。

 まとめ

国体は、スポーツを「みる」楽しさはもちろん、ボランティアや競技役員などを「する」ことによって、「ささえる」楽しさも味わえる場。どのような形であれ、大会に関わることで実に多様なスポーツの楽しさを実感することができるでしょう。出場する選手たちが織り成すドラマを、あなたもぜひ自らの目で見届けてください。

【第73回国民体育大会 福井しあわせ元気国体2018】
会期:9月29日(土)~10月9日(火)
https://fukui2018.pref.fukui.lg.jp/kokutai/
※6競技と総合開会式・閉会式は、NHKで全国放送も予定。

※本記事は以下の資料を参照しています

・スポーツ庁 - 国際競技力の向上(2018-09-01閲覧)
・公益財団法人 日本スポーツ協会 - 開催概要(2018-09-01閲覧)

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