2025年デフリンピックの招致決定!相次いで日本で行われるパラスポーツの国際大会

2025年デフリンピックの招致決定!相次いで日本で行われるパラスポーツの国際大会

9月に聴覚障害者の国際スポーツ大会である「デフリンピック2025年夏季大会」が東京で開催されることが正式決定しました。「デフリンピック」は、4年に1度、世界的規模で行われる聴覚障害者のための総合スポーツ競技大会であり、日本での開催はこれが初となります。

デフリンピックではコミュニケーションの全てが国際手話で行われ、競技はスタートの音や審判の声による合図を視覚的に工夫するなど、情報格差の解消以外はオリンピックと同じルールで運営されています。デフスポーツはパラスポーツ全体に比してまだ社会的な関心が低く、本大会はデフスポーツの魅力の伝搬や、人々や社会とデフスポーツ・デフアスリートを繋ぐ機会として期待されています。

また、「デフリンピック」だけでなく、東京2020パラリンピック競技大会に引き続き、日本国内でパラスポーツの国際競技大会が開催されることが決まっています。今年11月に東京都で開催される「パラバドミントン世界選手権2022」、2024年に神戸市で開催される「世界パラ陸上競技選手権大会」など、今後、開催予定の主なパラスポーツの国際競技大会をご紹介します。

デフリンピック2025年夏季大会

期日:2025年11⽉15⽇〜26⽇(12日間)
開催地:東京都

4年に1度、世界的規模で行われる聴覚障害者のための総合スポーツ競技大会。9月10日に大会主催である国際ろう者スポーツ委員会(ICSD)総会において大会開催地に日本が選ばれました。日本での開催が決定した2025年夏季大会は、1924年の第1回大会から数えて、デフリンピック100年目にあたります。開催計画では、音がきこえる人とそうでない人が共同して大会開催を実現していくことで、コミュニケーションや情報バリアフリーを推進し、一歩進んだ共生社会の姿を示していくとしています。大会のコンセプトは大きく4つです。

①デフアスリートを主役に、そしてデフスポーツの魅力を伝え、人々や社会とつなぐ
②デフリンピック・ムーブメント“誰一人取り残さない世界(SDGs)”の実現
③デフリンピック100周年そして歴史的な大会
④オリンピック・パラリンピックのレガシーの活用とさらなる飛躍

夏季大会では陸上、バドミントン、バスケットボールなど21競技が行われ、今年行われた第24回夏季大会には73カ国、2,412人が参加、日本選手は過去最多のメダル30個(金12、銀8、銅10)を獲得しました。

https://www.jfd.or.jp/deaflympics2025

2025年デフリンピック会場配置案:図図:2025年デフリンピック会場配置案
競技会場は主に東京都内。サッカー競技は福島県、自転車競技は静岡県で開催予定(射撃競技〈50m〉会場は調整中)

スケジュール:表

ICSD総会においてデフリンピックの日本開催が決定:イメージ写真:ICSD総会においてデフリンピックの日本開催が決定(写真提供:一般社団法人全日本ろうあ連盟)

今後開催予定のパラスポーツ国際競技大会

BWF パラバドミントン世界選⼿権2022

期日:2022年11月1日〜6日(6日間)
会場:国立代々木競技場第一体育館

2年に1度開催されるパラバドミントンの世界選手権大会。東京2020パラリンピック競技⼤会でパラバドミントンの会場となった国⽴代々⽊競技場第⼀体育館で⾏われる同⼤会は、国内外のトップ選⼿が集結して「世界⼀」を決める戦いが繰り広げられます。前2019大会では日本代表は11個のメダル(金1、銀1、銅9)を獲得。東京パラリンピックで金メダリストの里見紗李奈選手をはじめ、トップ選手の試合が間近で観戦できるのが魅力です。本大会では約3,000人規模の学校観戦プログラムも実施予定となっています。

https://jpbf.jp/pbwc2022/

ヒューリック・ダイハツBWF パラバドミントン世界選⼿権2022大会キービジュアル:イメージ写真:ヒューリック・ダイハツBWF パラバドミントン世界選⼿権2022大会キービジュアル
(写真提供:一般社団法人日本パラバドミントン連盟)

神戸2024世界パラ陸上競技選手権大会

期日:2024年5⽉17⽇〜25⽇(9日間)
会場:神戸総合運動公園 ユニバー記念競技場

世界パラ陸上競技選手権大会は、国際パラリンピック委員会(IPC)により創設され、2年に1度開催される世界最高峰のパラ陸上競技大会。パラリンピックに次ぐビッグイベントであり、約100カ国から1,300人が参加予定。身体的および知的障害を持つ世界のトップアスリートたちが集います。第11回大会の開催地には東アジア・日本で初開催となる神戸市が選出。本来は2021年9月に予定されていましたが延期となって2024年となりました。神戸市では大会に向けて、共生社会に向けた「まちづくり」に取り組み、選手や観客の皆さんを迎え入れる準備を進めています。

https://kobe2022wpac.org/

神戸2024世界パラ陸上競技選手権大会キービジュアル:イメージ写真:神戸2024世界パラ陸上競技選手権大会キービジュアル(写真提供:神戸市)

第5回アジアパラ競技大会

期日:2026年10月中旬~下旬
開催地:愛知県・名古屋市

概要:4年に1度、アジア地域におけるパラリンピック・ムーブメントの推進と競技スポーツのさらなる進展を図るために開催されるアジア最大の障害者総合スポーツ大会。今年4月に愛知・名古屋での開催が決定。アジアパラリンピック委員会(APC)に加盟する45カ国と地域で約4,000人が参加し、18競技(想定)を実施予定。医師の中村裕博士が推進し、1975年に大分で開かれた「極東・南太平洋身体障害者スポーツ大会(フェスピック)」が前身となっている。アジアパラ競技大会としては日本初開催となり、先に開催される第20回アジア競技大会と一体となって行われます。

https://www.pref.aichi.jp/soshiki/ag/

ワールドマスターズゲームズ2027関西

期日:2027年5⽉14⽇〜30⽇(17日間)
開催地:福井県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、徳島県、京都市、大阪市、堺市、神戸市の13府県政令市

約50,000人が参加する世界最大級の参加型生涯スポーツ大会。本来は2021年開催予定でしたがコロナ禍の状況により幾度かの延期を経て2027年に開催が決まりました(※)。35競技59種目と、多彩な競技数を実施。30歳以上であれば誰でも参加できます。中には障害のある人もない人も同じルールで一緒に参加できる競技もあります。障害者と健常者の相互理解を促進し、共感と一体感を育むことができ、インクルーシブスポーツを体験できる「場」として注目されています。開催地は関西圏2府7県と広域に渡り、スポーツツーリズムとしても地域活性化と経済効果が期待されています。

https://www.wmg2021.jp/

ワールドマスターズゲームズ2021関西組織委員会:ロゴイメージ写真提供:ワールドマスターズゲームズ2021関西組織委員会

※参考:スポーツ庁 - 誰でも参加できる「する」スポーツの祭典 〜ワールドマスターズゲームズ2021 関西〜
https://sports.go.jp/tag/life/2021.html

まとめ

今後開催される主な国際大会を5つ紹介しましたが、パラスポーツの醍醐味を実感できる魅力的な大会ばかりです。そして、いずれの大会運営も東京2020大会で培われたレガシーが活かされたカタチとなっています。さまざまな立場・状況の人たちが「ともに」スポーツを楽しむ姿から、これからの「共生社会の実現」が垣間見られるのではないでしょうか。スポーツ庁では第3期スポーツ基本計画で、スポーツを軸とした共生社会の実現を政策目標に掲げており、こうした国際大会を通じて、多くの人がパラスポーツに触れる機会が増え、共生社会への理解・関心の高まりが持続、発展していくことを期待しています。

この機会に、各大会の観戦や参加を通じて、ぜひパラスポーツを生で感じてみてはいかがでしょうか。

●本記事は以下の資料を参照しています

一般財団法人 全日本ろうあ連盟 - 2025年デフリンピックの開催地が東京に決定しました(2022-09-01閲覧)
一般財団法人 全日本ろうあ連盟 - デフリンピックのご紹介(2022-09-01閲覧)
一般財団法人 日本パラバドミントン連盟 - ヒューリック・ダイハツBWF パラバドミントン世界選⼿権2022 | 日本パラバドミントン連盟のオフィシャルページ(2022-09-01閲覧)
KOBE2024 世界パラ陸上競技選手権大会(2022-09-01閲覧)
愛知県 - 第5回アジアパラ競技大会の愛知・名古屋での開催決定について(2022-09-01閲覧)
笹川スポーツ財団 - 3. 日本のパラリンピック 『一人の情熱から始まった』医師・中村裕のエネルギー【パラリンピックの歴史を知る】(2022-09-01閲覧)
World Masters Games | ワールドマスターズゲームズ2021関西(2022-09-01閲覧)

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