多い?少ない?スポーツをする人は約「5」割。 世論調査から見る!日本のスポーツ「する」「みる」「ささえる」の実態とは

スポーツ実施率
運動やスポーツが健康づくりに重要であることは理解しているものの、「仕事や家事が忙しくてスポーツをする時間がとれない」「いざスポーツをするとなると面倒くさい」と思う方も多いのではないでしょうか。

スポーツは、私たちの生活にどのような影響を及ぼすのか。スポーツ庁が20,000人を対象に実施した世論調査の結果をふまえながら、「する」だけでなく、「みる」「ささえる」という関わり方も含めたスポーツの価値について考えてみましょう。

世論調査から見えてくる日本人とスポーツの“密度”

スポーツ実施率引用:スポーツ庁「平成29年度スポーツの実施率状況等に関する世論調査」

平成29年度「スポーツの実施状況等に関する世論調査」では、週1日以上運動・スポーツを実施する成人の割合は、前年度の42.5%から51.5%へと大きく向上したことが分かります。

10代から年代が上がるにつれて徐々に実施率は下がり、40代がもっとも実施率が低く、50代から再び上昇。また、全世代の中で70代がもっとも実施率が高く、男女ともに70%を超えるというデータも。その他、10~40代は、それぞれ前年度より10ポイントを超える大きな伸びを示しており、特に20代女性は17.6ポイント増となっています。

その一方で「この1年間に運動・スポーツはしなかった」かつ「現在運動・スポーツはしておらず今後もするつもりがない」と答えた人は20.7%おり、「1年前と比べて運動・スポーツを実施する頻度は増えた」と答えている人が19.1%なのに対して、「減った」と答えている人は21.6%とそれを上回っています。

また、運動不足を「感じる」(「大いに感じる」「ある程度感じる」)と答えた割合は79.5%と非常に高く、運動頻度が低いほど運動不足を感じる割合が高い傾向が見られます。これは、現代人が抱える「忙しさ」がもっとも大きな要因と言えそうです。

諸外国のスポーツ実施率は日本を上回る

運動・スポーツを週1日以上実施する成人が増えたことは喜ばしいことです。しかし、EUに設けられた欧州委員会(European Commission)やオーストラリアスポーツ委員会(Australian Sports Commission)の調査によれば、フィンランド、スウェーデン、オーストラリアといった国々における成人(対象年齢は15歳以上)のスポーツ実施率は、その定義が異なるため単純な比較はできませんが、日本を大きく上回る66~69%という結果になっています。

諸外国のスポーツ実施率は日本を上回る引用:欧州諸国:European Commission「Eurobarometer 412, Sports and Physical Activity」(2014)オーストラリア:Australian Sports Commission「Participation in Exercise, Recreation and Sport」(2010)スポーツ庁「スポーツの実施状況等に関する世論調査(平成29年11~12月調査)」

スポーツ庁では、ライフステージに応じたスポーツ活動の推進とその環境整備を行うことで、成人の週1日以上のスポーツ実施率を65%程度(週3日以上は30%程度)に高めることを目指しています。上述した課題や諸外国との比較も含めて、今後のスポーツ実施率の向上に対して「期待できる伸びしろがある」とも言えるでしょう。

スポーツへの関わり方はさまざま

平成29年度スポーツの実施率状況引用:スポーツ庁「平成29年度スポーツの実施率状況等に関する世論調査 この1年間に運動・スポーツを行った理由」※5位までを抽出

この1年間に運動・スポーツを行った理由は、「健康のため」(75.2%)「体力増進・維持のため」(50.1%)といったポジティブな理由が目立ちます。

10代の回答の中で他の世代より割合が高かったのは、「楽しみ・気晴らしとして」「友人・仲間との交流として」「自己の記録や能力を向上させるため」といった項目。また、20~40代の女性に多かった回答としては、「家族のふれあいとして」「美容のため」など。また、「初めて実施した・再開したきっかけ」として「友人・知人・同僚に誘われた」(19.5%)「家族に誘われた」(16.7%)という理由が断然多く、身近な人から誘われたことをきっかけに運動・スポーツを始める人が多いことも分かりました。

運動・スポーツが果たす役割は、自らの健康維持や体力増進だけではありません。ストレスの発散や、コミュニケーションの手段としても、スポーツが果たす役割は大きいと言えるでしょう。

「する」スポーツは手軽に始められる「ウォーキング」が人気

ウォーキング 画像

「ウォーキングが人気」を示すデータ

  • この1年間に実施した運動・スポーツ「57.0%」
  • 「1年前と比べて運動・スポーツを実施する頻度は増えた」と答えた人が実施している種目「77.7%」
  • 初めて実施したまたは久しぶりに再開した運動・スポーツ「52.4%」
  • 今後行ってみたい運動・スポーツの種目「30.8%」
  • 「現在運動・スポーツはしていないが、6ヶ月以内に始めようと思っている」と答えた人が今後始めてみたい運動やスポーツ「56.8%」

上記はいずれも「ウォーキング」が他の運動を大きく上回ってトップの人気を誇っています。ウォーキングは、前年度と比較しても男女の全年代で実施人数・実施割合ともに高く、特に10~30代で実施割合が大幅に増えています。

通勤・通学などに取り入れやすいこと、必要な道具がほとんどないこと、運動負荷が大きくないことなどを含め、手軽に始められることが主な理由ですが、加えて家族や恋人、友人などとおしゃべりしながらできるなど、実施しながらコミュニケーションを深めやすいことや、自然を通して季節の変化を感じられる点も「ウォーキング」が持つ魅力と言えそうです。

スポーツを「みる」楽しさ

スポーツ観戦

運動・スポーツを「直接現地で」観戦した人が26.9%いる一方で「TVやインターネットで」観戦した人は68.4%。7割近い人がメディアを通じてスポーツ観戦を楽しんでいます。競技の結果が分かってしまうとおもしろさが減るため「リアルタイム観戦」はスポーツ観戦の醍醐味ですが、その意味では、TV・インターネットが果たす役割は大きいと言えるでしょう。

現地で観戦したスポーツでもっとも多かったのは、「プロ野球(メジャーリーグ含む)」(14.3%)で、「高校野球」「Jリーグ」「サッカー日本代表」と続きます。他方、テレビやインターネットで観戦したスポーツは、こちらも「プロ野球」(41.6%)を筆頭に、「高校野球」「サッカー日本代表」「フィギュアスケート、スピードスケート、アイスホッケー」となっています。野球とサッカーの人気が高いのは、そもそも競技人口が多いこと、試合数が多いこと、TVやインターネットで中継される機会が多いことなどが理由として考えられそうです。

スポーツ観戦した理由は、「そのスポーツが好きだから」が67.0%(男性72.8%、女性60.3%)と圧倒的に多く、次に「応援しているチームがあるから」が24.8%(男性28.5%、女性20.5%)で続きます。そのスポーツや競技種目が好きだったり、チームや選手に好意をもっていたりすると、比例して観戦意欲が高まることもデータからわかりました。2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向け、スポーツを「みる」楽しみ方について考えてみてはいかがでしょうか。

スポーツを「ささえる」楽しさ

ささえる スポーツ 画像

スポーツに関するボランティアに参加した割合は、前年度6.1%から10.6%へ増加しました。具体的には、「大会・イベントの運営や世話」が27.6%ともっとも高く、次いで「運動・スポーツの指導」「スポーツクラブ・団体の運営や世話」と続きます。また、スポーツの実施頻度が高いほど、ボランティア参加率も高いことがうかがえます。ボランティア活動を行う動機は、「好きなスポーツの普及・支援」が19.3%ともっとも多く、次いで「地域での居場所、役割、生きがい」「出会い・交流の場」となっています。

スポーツを「ささえる」ことでスポーツが身近に感じられ、一緒に参加する実感によって「生きがい」や「やりがい」が醸成されたり、人とのつながりを感じることもできるでしょう。2020年東京オリンピック・パラリンピックでは、多くのボランティアが必要とされていますが、ボランティアなど「ささえる」というスポーツへの関わり方は、今後ますます注目を集めることになるでしょう。

まとめ

運動・スポーツに関して、「大切」「まあ大切」と答えた人は、全体の66.4%。日常的に運動している人ほど、運動・スポーツに対する価値を高く感じていることが分かりました。

また運動・スポーツに関する価値は、「健康・体力の保持増進」のほか、「精神的な充足感」や「人と人との交流」という面でも高い効果が期待できます。運動・スポーツを「する」だけにとどまらず、「みる」「ささえる」など多様な立場で誘い合い、スポーツを楽しむ人を増やし個人や社会の豊かさを高めていけると理想的です。

●本記事は以下のスポーツ庁発表の資料を参照しています
スポーツ庁 ー 平成29年度スポーツの実施率状況等に関する世論調査(2018-03-01閲覧)
スポーツ庁 ー スポーツの実施状況等に関する世論調査(平成29年11~12月調査)(2018-03-01閲覧)

●その他、以下の資料を参照しています
欧州諸国:European Commission「Eurobarometer 412, Sports and Physical Activity」(2014)
オーストラリア:Australian Sports Commission「Participation in Exercise, Recreation and Sport」(2010)

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