スポーツ庁では、障害のある方がスポーツに親しめる環境づくりに向けて『障害のある方へのスポーツ指導・関わり方 入門ハンドブック』を作成し、ホームページ上で無料公開しています。本ハンドブックは、障害のある方へ初めてスポーツを指導する方やこれからスポーツ指導を実施したいと考えている方に、まずは入門書として読んでいただき、そこから専門的な学びのきっかけとして活用していただきたいと考えています。本ハンドブックには、スポーツをいかに楽しんでもらえるか、指導を受ける方の特徴に応じたコミュニケーション方法を意識することといった、指導者が持つべき心構えについて記載しています。この心構えは、パラスポーツのみならず、トップアスリートから、運動の苦手な方、子供・高齢者まで、すべての方への運動・スポーツの指導に重要であり、そういったことも本ハンドブックから学ぶことができます。

スポーツ指導に携わりたい方の入門書

パラリンピック東京大会、パリ大会と日本のパラアスリートたちが活躍し、今年2025年11月には、日本で初めてデフリンピックが開催されるなど、パラスポーツへの興味・関心が高まっています。
スポーツ庁では、「第3期スポーツ基本計画」に基づき、性別や年齢、障害、経済・地域事情等に関わらず、多くの人がスポーツを楽しめる社会の実現に向けた取組を進めていますが、いまだ障害のある方がスポーツに親しむ機会は充分なものとはなっていません。その理由の一つが「指導者不足」です。障害のある方のスポーツ指導に関わったことがあるスポーツ指導者は少なく、どのように指導していいのか分からないといった声も聞こえています。

本ハンドブックでは、肢体不自由や視覚障害、聴覚障害など各種障害の特性や、その特性を踏まえた指導のポイントやコミュニケーションの取り方、ケガや事故防止への配慮など具体的な指導のポイントなどがまとめられています。この入門ハンドブックには、障害のある方のスポーツ指導に関わったことのない指導者、これから障害のある方のスポーツ指導に携わりたいという方にとって、有益な情報が詰まっています。また、本ハンドブックを入口として、障害のある方への指導の心構えや方法を知ることで、パラスポーツのみならず、トップアプリ―トから、運動の苦手な方や子供・高齢者等、指導の対象や範囲の拡大も見込まれます。

ハンドブックには実践的なスポーツ指導のノウハウを掲載

ハンドブックは、第1章「パラスポーツの基本」、第2章「障害のある方へのスポーツ指導の入口」、第3章「障害のある方へのスポーツ指導の実践（障害の特徴や指導方法、安全管理）」の3章構成となっています。

第1章では、パラスポーツの意義や現状について書かれ、第2章では、スポーツ指導者としての心構えから、指導を行う環境整備やコミュニケーション方法について解説しています。第3章では各障害の特徴や、特徴を踏まえた指導方法が紹介されており、実践的な内容も記載されています。また、コラムとして、パリ2024パラリンピック競技大会の水泳（視覚障害）金メダリスト・木村敬一選手、東京2025デフリンピック代表内定の卓球（聴覚障害）・亀澤理穂選手に室伏長官がインタビューをし、選手にとって分かりやすかった指導やアドバイス、練習での工夫といった体験談を語っており、こうした内容は、スポーツ指導のためのヒントになります。インタビューの様子は、今後YouTubeで公開する予定です。

まとめ

本ハンドブックを通じて、各障害の特徴などの知識を単に学ぶツールだけではなく、指導対象者の年齢や性別、性格等を踏まえて指導することや、個性に合わせて工夫を凝らしながら指導するといった、指導者が持つべき重要な心構えも習得することができます。この心構えは、指導対象者が障害のある方であるか否かに関わらず、すべての方への運動・スポーツの指導に重要です。このような指導は指導者としての幅を広げることにつながり、ひいては障害の有無に関わらず、インクルーシブなスポーツ実施環境に寄与できると考えます。

本ハンドブックはスポーツ庁のホームページで公開していますので、すでにスポーツ指導に携わっている方、これからスポーツ指導者を志す方など、多くの指導者の方に読んでいただきたいと思います。

●本記事は以下の資料を参照しています

スポーツ庁 - 障害のある方へのスポーツ指導・関わり方　入門ハンドブック（関係情報URL）（2025-05-01閲覧）
スポーツ庁 - 障害のある方へのスポーツ指導・関わり方　入門ハンドブック（PDF）（2025-05-01閲覧）