みんなが輝く大会! 『わたSHIGA輝く国スポ・障スポ』をレポート!

みんなが輝く大会! 『わたSHIGA輝く国スポ・障スポ』をレポート!

2025年、滋賀県にて第79回国民スポーツ大会・第24回全国障害者スポーツ大会『わたSHIGA輝く国スポ・障スポ』が開催されました。両大会では、各都道府県を代表するアスリートら選手団が滋賀県各地で熱戦を繰り広げ、スポーツを通じた交流を楽しみました。2025年大会はどのような大会だったのか取材してきました。

国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会とは

『国民スポーツ大会(国スポ)』は、広く国民の間にスポーツを普及し、国民の体力向上を図るとともに、地方スポーツの振興と地方文化の発展に寄与することを目的として行われる国内最大の総合スポーツ大会です。国スポは都道府県持ち回りで開催され、都道府県対抗方式となっており「冬季大会」と「本大会」の各競技で競技得点の合計を競い合います。
※2024年より「国民体育大会」から「国民スポーツ大会」に名称を変更

『全国障害者スポーツ大会』は、競技等を通じ、障害のある選手がスポーツの楽しさを体験するとともに、国民の障害に対する理解を深め、障害のある方の社会参加を推進することを目的とした障害者スポーツの全国的な祭典です。1965年に「全国身体障害者スポーツ大会」として始まり、2001年に「全国知的障害者スポーツ大会」と統合されて現在の形式の大会となりました。国民スポーツ大会終了後に、同じ開催地で行われます。

2025年滋賀県大会『わたSHIGA輝く国スポ・障スポ』

滋賀県では、1981年の『びわこ国体』『びわこ大会』以来、44年ぶり2度目の開催となります。滋賀県大会では、「湖国の感動 未来へつなぐ」をスローガンに、「する」「みる」「支える」すべての人が様々な場面で主役として光り輝き、大会を通じて生まれた夢や感動、連帯感が、大会に関わるすべての人の心に刻まれ、明日への活力、未来への希望として将来にわたって引き継がれるようにと願いが込められました。

2025年滋賀県大会『わたSHIGA輝く国スポ・障スポ』は、以下の要領で開催されました。

●第79回国民スポーツ大会
大会会期:

(会期前1)2025年9月6日(土)~15日(月・祝)の10日間
(会期前2)2025年9月21日(日)~25日(木)の5日間
(本会期)2025年9月28日(日)〜2025年10月8日(水)の11日間

実施競技:

正式競技37競技、特別競技1競技、公開競技7競技、デモンストレーションスポーツ26競技

47都道府県の選手団が参加し、天皇杯(男女総合成績)では、1位:滋賀、2位:東京、3位:京都。皇后杯(女子総合成績)は、1位:滋賀、2位:東京、3位:京都という順位でした。

●第24回全国障害者スポーツ大会
大会会期:

2025年10月25日(土)〜2025年10月27日(月)の3日間

実施競技:

正式競技14競技、オープン競技4競技

47都道府県に加え、20政令指定都市の選手団が参加。障スポでは、昨年の佐賀大会に引き続き、各競技の1位から3位までの選手およびその補助者(陸上競技の伴走者やボッチャのランプオペレーター)にメダルが授与されました。

国スポ総合開・閉会式、障スポ開・閉会式では、新たに建設された「平和堂HATOスタジアム(彦根総合スポーツ公園陸上競技場)」で行われ、全国から選手団および関係者、地元からも数多くの観覧者が集まり、盛大な式典が執り行われました。

2025年10月25日の全国障害者スポーツ大会開会式の様子1

2025年10月25日の全国障害者スポーツ大会開会式の様子2(写真)2025年10月25日の全国障害者スポーツ大会開会式の様子

みんなが輝く大会に!滋賀県大会のポイント

これまで、国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会は、開催される都道府県ごとに地元の特色を打ち出した大会運営が行われています。『わたSHIGA輝く国スポ・障スポ』では、年齢、性別、障害の有無を問わず、大会に関わるすべての人が様々な場面で主役として光り輝く大会、「みんなが輝く大会」を目指し、4つの取組を掲げました。

●4つの取組
①環境に配慮し実践する大会
②おもてなしで滋賀の魅力発信
③スポーツの力でつくる共生社会
④子ども、若者、女性が活躍

①環境に配慮し実践する大会

スポーツの楽しさや感動を分かち合うとともに、滋賀県に受け継がれている身の回りの生活から自然環境を考える取組を県民・企業、大会に関わるすべての参加者が実践し、「人と人、人と地域、人と自然」のつながりを深める取組を行いました。滋賀県では、両大会を通じてエネルギー使用量削減など環境への配慮を実践する「わたSHIGA輝く国スポ・障スポMLGs宣言」を掲げました。

具体的な取組例としては、大会の運営スタッフやボランティアが着用するスタッフウェアに再生繊維を100%用いたほか、選手に授与されるメダルにはリサイクル金属が使われるなど、環境に配慮した工夫が施されました。また、選手・観客・スタッフにはマイボトル持参を呼びかけ、会場内に給水所を設置するなど、大会参加者が一体となって環境への配慮に取り組めるよう、様々な工夫が施されていました。

環境配慮の一環として、マイボトルへの給水が可能な給水所が会場内に設置されている:イメージ(写真)環境配慮の一環として、マイボトルへの給水が可能な給水所が会場内に設置されている

メダルは障害者福祉施設「やまなみ工房」の作家・森雅樹さんの作品を取り入れ、琵琶湖の形にくり抜いたデザインとなっている。一部にリサイクル金属を使用して制作されている:イメージ(写真)メダルは障害者福祉施設「やまなみ工房」の作家・森雅樹さんの作品を取り入れ、琵琶湖の形にくり抜いたデザインとなっている。
一部にリサイクル金属を使用して制作されている

②おもてなしで滋賀の魅力発信

滋賀県では琵琶湖を中心とした豊かな自然や歴史、文化に加え、湖上スポーツをはじめとしたスポーツ環境など、滋賀の魅力を両大会に訪れた来場者に積極的に発信してきました。開・閉会式会場での「おもてなSHIGAエリア」をはじめ、各会場で地元の素材を活かした特産品や郷土料理の提供などが行われていました。また、安心・安全な大会づくり、ボランティアによるホスピタリティの充実など、県民一丸となって「おもてなし」に努めました。

③スポーツの力でつくる共生社会

年齢や性別、障害の有無を問わず、誰もが身近にスポーツを楽しめる環境をつくり、誰もがボランティアや大会関連行事等に積極的に参加できる環境をつくるなど、それぞれのスタイルで「する」「みる」「ささえる」を体験し、共生社会の実現に向けた取組を行ってきました。

障スポでは、各会場に「カームダウンスペース」が設置され、話題となりました。「カームダウンスペース」とは、発達障害、知的障害、精神障害など、外部刺激や環境の変化に敏感な方が、気持ちを落ち着けるためのスペースです。空港・駅の交通機関ターミナル、図書館・学校などの公共施設でも設置が進んでいますが、全ての障スポ競技会場への設置は大会初の試みとなります。

視覚障害のある方も会場でスポーツ観戦を楽しめるよう、グランドソフトボールやバレーボール知的障害の部では、音声配信サービスを用いたリアルタイム実況が実施されました。そのほか、バリアフリートイレや音声案内、スロープ、筆談ボードの設置、ピクトグラムの表示など、誰もが安心して参加できるよう、様々な配慮が行われました。

会場に設置されたカームダウンスペース:イメージ(写真)会場に設置されたカームダウンスペース

障スポでは補助犬専用のトイレを設置:イメージ(写真)障スポでは補助犬専用のトイレを設置

④子ども、若者、女性が活躍

本大会では、子ども、若者、女性が大会運営に参画を図りやすい環境づくりに取り組みました。例えば、小学校5年生から20歳代前半までの県民を委員とする「子ども・若者参画特別委員会」を設立。活動を通し、子ども・若者ならではの視点や考えを大会開催準備や県のスポーツ振興に役立てました。

例えば、本委員会の提言をうけて実施した「国スポ・障スポ教室」では、児童・生徒が手話歌の大会イメージソング「シャイン!!」を通じて、大会への関心や障害のある方への理解を深めました。
また、炬火受け皿づくり、手作りのぼり旗の作成、お花プランターづくりなど、幅広い大会準備に子どもたちも参画しました。

障スポ期間中、大学・専門学校生など、およそ1700名が選手団の競技応援や誘導、移動介助、荷物運搬、弁当・毛布の配布などのサポートを行いました。次世代を担う若者が、選手との交流を通して、障害のある方への理解を深めたようです。

「花いっぱい運動」の一環として、会場に飾られるお花をプランターに植える園児たち。大会終了後、無料配布された:イメージ(写真)「花いっぱい運動」の一環として、会場に飾られるお花をプランターに植える園児たち。大会終了後、無料配布された

ボランティア研修の様子:イメージ(写真)ボランティア研修の様子

環境保全に関する意識、ボランティア精神が高い滋賀県民

こうした取組により、大会は関わる人の輝く笑顔であふれていました。4つの取組が功を奏したのは、滋賀県民の気質によるものが大きいと、滋賀県国スポ・障スポ大会局 広報・県民運動室 広報係主査の窪田さんは語ります。

滋賀県では、前回の『びわこ国体』『びわこ大会』が開催された1981年に、「びわ湖の日」が制定されました。高度経済成長期の中、びわ湖を守る一連の取組は、滋賀県が環境先進県といわれる大きなターニングポイントとなっています。それから44年が経ち、大会が一巡した今も、毎年10万人以上が「びわ湖の日」の前後の期間に清掃活動を行っています。こうした滋賀県民の環境保全への意識、ボランティア精神の高さが、国スポ・障スポをささえる力になったと思います。

また、滋賀県では県内の小学5年生が参加する、びわ湖上の船に宿泊して体験的な学習を行う「フローティングスクール」を実施しており、子どもたちの「体験から得る学び」をとても大切にしています。
今回の国スポ・障スポでは、子どもたちの体験機会を数多く設けました。普段接することが少ないパラスポーツの存在を知ってもらう、さらには実際の競技を目の前で見ることができる貴重な機会となったと思います。本大会のレガシーを若い世代が引き継いでくれることを期待しています。

おもてなし一斉清掃(大津地区)の参加者:イメージ(写真)おもてなし一斉清掃(大津地区)の参加者

まとめ

10月8日(水)と27日(月)に『わたSHIGA輝く国スポ・障スポ』が無事閉幕となりましたが、両大会の成功は、全国の参加選手および関係者、大会運営スタッフ、ボランティア、滋賀県民の皆さまの尽力の賜物であり、子どもや女性をはじめ、幅広い世代のサポートが特に目を惹く大会でした。
河合スポーツ庁長官が障スポ閉会式の挨拶で述べた「本大会は、共に支え合い、挑戦する姿の素晴らしさを実感できる貴重な機会となりました。皆さんがこれからもスポーツを楽しみ、目標に向かって力強く羽ばたいていかれることを心から期待しています。」の言葉のとおり、スポーツ庁では、スポーツを通じた共生社会の実現に向けて個々の力を発揮できる環境づくりに邁進していきます。

障スポ閉会式にて挨拶する河合長官:イメージ(写真)障スポ閉会式にて挨拶する河合長官

●本記事は以下の資料を参照しています

わたSHIGA輝く国スポ・障スポ2025(2025-11-01閲覧)
滋賀県 : 「びわ湖の日」とは?(2025-11-01閲覧)

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