「ASEAN-JAPAN Sports Showcase2023」開催レポート ~JSPINによる新たな海外展開の可能性~

「ASEAN-JAPAN Sports Showcase2023」開催レポート~JSPINによる新たな海外展開の可能性~

2023年9月1日、日本と東南アジア諸国連合(ASEAN)の第4回スポーツ大臣会合がタイ・チェンマイで開催され、2030年を目標とした「チェンマイ宣言」が採択されました。時と場所を同じくして、8月31日と9月1日の2日間、大臣会合が開催される会議室の隣の会場で、日本ASEAN友好協力50周年の記念事業のひとつとして「ASEAN-JAPAN Sports Showcase2023」が開催されました。ASEANとともに、スポーツ産業を拡大させることを目的に開催されたもので、日本から18の企業・団体が出展。本展示会開催の経緯や当日の様子をご紹介します。

コロナ禍を経て、海外で日本のスポーツ産業をアピール

スポーツ庁では、スポーツ産業の国際展開を促進するプラットフォーム「Japan Sports Business Initiative」通称JSPIN(ジェイスピン)(https://jspin.mext.go.jp/)を2021年に立ち上げ、国内のスポーツ産業の海外展開の支援を、情報共有やネットワーキングの側面から支えてきました。しかし、時はコロナ禍…。オンライン商談会などは行ってきたものの、実際に海外の展示会等に出展する機会はありませんでした。

こうした中、日本ASEAN友好協力50周年を迎える記念の年でもある2023年に、何か新たな取組ができないかと始まったひとつのプロジェクトが「ASEAN-JAPAN Sports Showcase2023」でした。日本とASEANが、世界に誇るスポーツ産業の製品やサービス・取組をアピールするものです。JSPIN事務局では、日ASEANスポーツ大臣会合の場でもあることを考慮し、JSPINに賛同し、ASEAN各国のスポーツ政策に貢献できる日本企業・団体の取組を選定しました。JSPIN事務局からの呼びかけに応え、18の企業・団体の出展が決まりました。

コロナ禍を経て、海外で日本のスポーツ産業をアピール:イメージ

副大臣が自ら英語でプレゼン!日本の展示に来場者からは熱視線

9月1日には、日ASEANスポーツ大臣会合を終えた井出文部科学副大臣(当時、以下:副大臣)がASEAN各国のスポーツ大臣らをご案内し、会場へ。副大臣自ら、英語で日本企業の取組をプレゼンしました。

来場者たちから注目された日本企業・団体を紹介します。

株式会社シンク
阪神・淡路大震災や東日本大震災など様々な災害を乗り越えてきた日本。こうした教訓を活かし、地震や水害など災害時に対応できる能力を、スポーツを通じて楽しみながら取り組むプログラム「防災スポーツ」は、各国それぞれのニーズや課題に合わせて展開できると関心を集めていました。
株式会社MIZUTORI
アテネオリンピック体操団体金メダリストの水鳥寿思さんが、子どもたちに体操の面白さを伝えたいと開発した運動学習アプリ「スポテク」をプレゼン。側転ができるようになる動きを順に説明するなど、実技を交えたプレゼンで、英語や各国語対応はないのかとの質問も。
株式会社MILOQS
脳神経科学アプローチのトレーニングプログラム「renewro sports」を紹介。アスリートがゾーンに入ると言いますが、ゾーンへの突入促進や心身のコンディショニング、そして、チーム力の強化を支援するもので、VRを使った脳神経科学アプローチに来場者も興味津々。
株式会社三笠
靴下から健康を支えるアイデア商品を生み出している同社。「足つぼ5本指ソックス」等ユニークな靴下製品を各種紹介しました。副大臣が靴を脱いで、5本指ソックスを紹介する場面では、会場が沸きました。
株式会社進盟ルーム
調圧ルーム「進盟ルーム」を説明。特許も取得している減圧と加圧を繰り返すことでリカバリーするシステムの説明に来場者も聞き入っていました。ケガが早く治るという実証写真に驚きの声も。
旭化成株式会社
水を通さず空気を通す素材「RespiGard」を紹介。その特徴が一目でわかる装置を設置し、実際の素材がとても薄く活用しやすいことをアピール。登山や雪山スポーツをはじめ、さまざまな分野での活用が期待されています。
株式会社ジャパンサイクルリーグ
バーチャルサイクリングアプリ「VRoad」を実演。チェアマンである片山右京さんが解説しながら、実際の日本の風景をスクリーンに映し出しサイクリングしました。副大臣からの勧めもあり、各国の大臣らが実際に体験する一幕も。
株式会社川崎フロンターレ
以前在籍していた三苫選手やタイ出身のチャナティップ選手の知名度が高く、日本代表を多く輩出するクラブの活動や、今後のアジア展開にも注目が集まっていました。各国のスター選手がここから育つかもしれないとの期待も寄せられました。
株式会社モルテン
子どもがパズルのようにボールを組み立て、実際にサッカーができるキット「MY FOOTBALL KIT」を展示。来場者は、実際のボールを触ったり蹴ったりして、特徴を確かめていました。しっかりした作りと、そのアイデアには感心しきりでした。
スポーツデータバンク株式会社
部活動支援サービスなど日本で展開してきたサービスとその実績を基に、スポーツ・健康に関するサービスを紹介しました。日本のきめ細やかなサービスとノウハウはASEAN各国にも導入の期待がかかります。
独立行政法人日本スポーツ振興センター
「Sport for Tomorrow」の取組をご紹介。東京大会のレガシーとして、ASEAN各国でもさまざまな取組が行われていることを改めて認識いただきました。スポーツ庁・日本スポーツ振興センター等が主導する官民連携コンソーシアムを通じた国際交流・協力には各国から感謝の声も聞かれました。
スポーツ庁
日本と世界のスポーツ産業をつなぐプラットフォーム「JSPIN」。これまで以上に、日本のスポーツ関連企業・団体と世界のスポーツ産業をつなぐよう、リニューアルした英語ページを紹介しました。

そのほか、パネル・動画出展企業は以下の通りです。

  • ミズノ株式会社 遊び運動プログラム「ヘキサスロン」
  • 公益社団法人日本プロサッカーリーグ
  • 株式会社Jヴィレッジ
  • 株式会社エヌ・ティ・ティ・データ 「V-BALLER」
  • 一般社団法人スポーツを止めるな 「1252プロジェクト」
  • 公益財団法人笹川スポーツ財団 「スポーツ白書2023」「Sports for All」

副大臣が自ら英語でプレゼン!日本の展示に来場者からは熱視線:イメージ

JSPINは新たなフェーズへ。国内でも海外でもネットワークを強化

JSPINは新たなフェーズへ。国内でも海外でもネットワークを強化:イメージ

▲ JSPINの英語サイト(https://jspin.mext.go.jp/en/

「日本の展示はバラエティに富んでいてユニークな取り組みばかりだった」「ぜひサンプルが欲しい」といった声も聞かれたASEAN-JAPAN Sports Showcase2023。コロナ禍を経て、初めてJSPINの事業として、海外を舞台に日本のスポーツ産業をアピールする機会となりましたが、日本の産業は世界のスポーツ界に貢献できると強く感じた展示会にもなりました。

JSPINは、海外展示会への出展支援も継続して行っていきます。2023年11月にドイツ・ミュンヘンで開催されるスポーツ産業の展示会「ISPO Munich2023」に、ジャパンエリアを設ける計画で、出展企業を募集します。詳細はJSPINオンラインサイトに掲載します。https://jspin.mext.go.jp/

今後も、これから海外展開を検討するスポーツ関連の企業団体に向けた情報提供やネットワーキングカンファレンスを行うほか、オンラインサイト上にパートナーやアドバイザーに相談できる機能を試験的に設定します。また、海外への情報発信や海外と日本をつなぐ役割を果たすよう、英語ページも刷新しています(https://jspin.mext.go.jp/en/)。今後もご注目ください。

●本記事は以下の資料を参照しています

JSPIN公式サイト(2023-09-01閲覧)

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