3年目を迎える「アスリート発掘プロジェクト」への期待と可能性

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2017年度からスポーツ庁が取組んでいるアスリート発掘プロジェクト「ジャパン・ライジング・スター・プロジェクト(J-STARプロジェクト)」。3年目を迎え、同プロジェクトの1期生と2期生たちの目覚ましい成果に注目が集まっています。

若きアスリートやスポーツ愛好者たちにとって自身の才能を再確認し、新たなチャレンジの場となっている同プロジェクトの動きは、日本各地に広がりつつあるようです。

未来のアスリートを発掘する「J-STARプロジェクト」とは

2016年10月、鈴木大地スポーツ庁長官が発表した指針「鈴木プラン」に掲げられた「スポーツタレント発掘・育成(TID:Talent Identification and Development)」。その一環として、2017年にスポーツ庁の主導で「ジャパン・ライジング・スター・プロジェクト(J-STARプロジェクト)」が発足しました。

プロジェクトのテーマは「メダルポテンシャルアスリートとなり得る、将来性豊かなスポーツタレントを全国で発掘する」こと。例えば、競技人口が多い野球やサッカーのようなスポーツから、“オリンピック・パラリンピック等で世界を狙える”他競技に次世代のアスリートが転向することを支援し、各競技に適した有望な人材を見出して、専門家の検証・評価を通じて各競技団体の強化育成コースに導いていくのが目的です。

以前、本サイト『DEPORTARE』でプロジェクトを紹介した記事『未来のオリンピック・パラリンピック選手はあなたの身近にもいる!? 「アスリート発掘プロジェクト」をレポート!(https://sports.go.jp/special/policy/japan-rising-star-project.html)』(2018年3月27日掲載)もご参考までにご覧ください。

競技転向で才能が開花、成功したアスリートたち

1期生の成果(2019.6月1日現在)出典:独立行政法人日本スポーツ振興センター「アスリートパスウェイの戦略的支援(地域ネットワークを活用したアスリート育成パスウェイの整備)- ジャパン・ライジング・スター・プロジェクト(J-STARプロジェクト)-」

J-STARプロジェクト開始時から参加した49名の1期生たちは、J-STARプロジェクトの「第3ステージ(検証)」において拠点県での活動を終え、2018年11月24日(土)に修了式を迎えました。当初は種目転向し初めてチャレンジする競技に戸惑いながらも、新たな挑戦を大きな力に変えて大きく成長。数々の結果を残しています。

1期生中でも、水泳からパラパワーリフティングに転向した森崎可林選手は、2018年のアジアパラ競技大会出場、パラパワーリフティング京都大会で56kgを挙上し日本新記録を受賞。剣道から車いすフェンシングに転向した鈴木誠選手は、2018 IWAS 車いすフェンシングワールドカップ&ジュニア世界選手権でジュニア(U17)男子フルーレCat A銀メダルを獲得。両名とも日本代表強化アスリートに認定されました。

ソフトボールからハンドボールに転向した女子の吉野珊珠選手は転向後1年で競技団体の年代別の育成アスリートの選手に選出。陸上競技(短距離)からボートに種目転向した瀬川咲新さんがJOCエリートアカデミー12期生として選ばれるなど、J-STARプロジェクトを通じて、ナショナルタレント以上のアスリートが13名輩出される成果を残しています。現在、第3ステージの検証プログラムを行っている2期生57名からも有望な選手が現れています。

7人制ラグビーの上田さん1期生 上田芽生(愛媛県)
バスケットボール → 7人制ラグビー

あなたは自分に適した競技があることを知っていますか?

将来オリンピック・パラリンピックを目指す中・高校生や障がい者の夢を応援することに加え、全国にいる運動能力や資質を持った“眠れる才能”を掘り起こす役割もJ-STARプロジェクトは担っています。

競技人口が多い野球やサッカーではプロや国際大会に進める者はひと握り。トップに到達できず、夢を諦めてしまう若者の中には、体力や運動のポテンシャルが高いアスリートも多く、自分が目指そうとした競技よりも、もっと自分に適した競技があるのかもしれません。

前述で紹介した活躍している1期生たちも他競技からの“転向組”であり、オリンピック・パラリンピックに出場した選手にも、他競技からの“転向組”が数多く存在します。J-STARプロジェクトを気づかなかった自分自身の可能性や競技との適性を知る場として活用してみてもいいのかもしれません。

3期生の応募が始まる

J-STARプロジェクトでは、2019年6月17日(月)より3期生のエントリー受付を開始。今期のキャッチコピー「道はひとつじゃない、新たな競技にチャレンジ」のとおり、将来オリンピック・パラリンピックを目指す者、他競技から転向を考える者、スポーツ未経験でも何かにチャレンジしたい者など、新たな自分に出会うチャンスとして、可能性を試したい若者へ広く門戸を開かれています。

エントリーから応募の流れ

J-STARプロジェクトの流れ

フィードバックシート例

プロジェクトの対象競技は、オリンピック、パラリンピックそれぞれについて設定され、これからの発展が見込め、メダル獲得の可能性を高められる競技が選ばれています。

■対象競技(2019年6月時点)

オリンピック競技(募集は9月2日まで) パラリンピック競技(募集は8月19日まで)
水泳(飛込) ボッチャ
ボート 陸上競技(身体障がい)
ウエイトリフティング パワーリフティング
ハンドボール(女子) 水泳(身体障がい)
7人制ラグビー(女子) 車いすフェンシング
  アイスホッケー

オリンピック競技なら12~17歳まで、パラリンピック競技なら12歳以上の男女が対象。第1ステージ(応募)のオンラインシステムにエントリーするところから始まります。その後、書類選考を経て、9~11月に全国で実施される第2ステージ(測定会)に参加し、そこから選考された選手が第3ステージ(検証)で合宿やトレーニング等による「検証」を行うという流れです。

■ステージ

【第1ステージ(応募)】
全国から条件を満たした方の応募を受け付けます。定員を超える応募があった場合は、応募内容を基に審査を行い、第2ステージへの通過者を決定します。
《応募期間》
・オリンピック競技:2019年6月17日(月)〜9月2日(月)
・パラリンピック競技:2019年6月17日(月)〜8月19日(月)

【第2ステージ(測定会)】
第1ステージ通過者を対象に、測定会を実施し、測定結果等に基づいて第3ステージへの通過者を決定します。
・オリンピック競技:体力測定(全国7会場)※
・パラリンピック競技:対象競技の競技測定等(全国4会場)
※また2019年度はWPN(ワールドクラス・パスウェイ・ネットワーク)の加盟団体と連携し、追加で体力測定会を実施する予定です。

【第3ステージ(検証)】
第2ステージの結果、対象競技団体から有望者として選考された者を対象に、合宿やトレーニング等による「検証」を行います。「検証」の期間は、2020年10月末までとし、次のステップ(対象競技団体が実施する育成プログラム等)への対象者とするかどうかを決定します。

わが街からスターが誕生!?全国に広がるアスリート発掘のチャンス

ワールドクラス・パスウェイ・ネットワーク参加団体(平成30年8月現在)独立行政法人日本スポーツ振興センター「ワールドクラス・パスウェイ・ネットワーク」より作成

このようなアスリート発掘・育成の試みは全国各地に広がりを見せています。独立行政法人日本スポーツ振興センターは、タレント発掘・育成に携わる関係団体等が連携し、日本全体としてアスリートを発掘・育成するシステムを構築することを目的として「ワールドクラス・パスウェイ・ネットワーク」を設立しました。

ワールドクラス・パスウェイ・ネットワークの参加団体は28地域(2019年6月現在)。都道府県や市町村で地域の育成環境や資源に応じて、タレント発掘・育成事業を行っています。

事業の種類は大きく分けて3つ。

  • 種目適性型:個人の適性に応じた競技種目を模索する
  • 種目特化型:ある競技種目に限定して才能を見極め、育成する
  • 種目最適(転向)型:ある競技種目のアスリート自身の特性をより生かすことのできるスポーツへ転向する

このように全国各地で、可能性を試したい若者に新たなチャンスの場が広がることで、地域から創出される“わが街のスター”が誕生する日も近いのではないでしょうか。

まとめ

いよいよ1年後と迫った「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」。各競技のアスリートたちにとっては、いまが選考会などの出場を賭けた正念場の時期。そのアスリートの中には、おそらく、3年前まではそのような状況を想像していなかったであろうJ-STARプロジェクト1期生も含まれています。

全国に広がるアスリート発掘・育成の場は、眠れる才能を活かすチャンスの場。地元から誰もが憧れて応援したくなるような、魅力あるアスリートが数多く輩出される日もそう遠くないはずです。地元をあげて、わが街のスターへの応援の機運が高まることで、地域のスポーツ界ももっと活性化するのではないでしょうか。

アスリートを目指す人、自分の可能性を見極めたい人がいましたら、J-STARプロジェクトの3期生エントリーが行われていることを教えてあげてください。

●本記事は以下の資料を参照しています

ジャパン・ライジング・スター・プロジェクト(2019-07-01閲覧)
独立行政法人日本スポーツ振興センター-ワールドクラス・パスウェイ・ネットワーク(2019-07-01閲覧)

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