令和4年度「多様な世代が集う交流拠点としてのスタジアム・アリーナ」選定拠点表彰式を開催
スポーツ庁および経済産業省では、まちづくりや地域活性化の核となるスタジアム・アリーナの実現を目指す「スタジアム・アリーナ改革」に取り組んでおり、2025年までに20拠点を実現することとしています。2020年度より全国のモデルとなるスタジアム・アリーナを「多様な世代が集う交流拠点としてのスタジアム・アリーナ」として選定し、翌年度に選定表彰式を行っています。2023年度は、九州最大級の規模を誇る多目的アリーナ「SAGAアリーナ」で表彰式が開催されましたので、その模様をお伝えします。
スタジアム・アリーナ改革で、人々が集う活気ある持続的な地域へ
スタジアム・アリーナ改革は、「スポーツの成長産業化」の大きな柱として位置付けられています。スタジアムアリーナの定義は以下の2点。
①スポーツをするための施設から、観ることを主な目的にした施設
②定期的に数千、数万人の人々を集客できる施設
地域住民がスポーツをするための施設とスタジアム・アリーナは別とし、観客の利便性や地元プロスポーツチームの活動等を重視します。施設の収益性を高め、公的負担の軽減にも繋がります。何よりも地域に大きな効果をもたらすことが期待されます。
スタジアム・アリーナ改革がもたらす地域への効果は以下のようなことが考えられます。
- ①地域のシンボル
- 官民による新しい公益の発現、収益性の確保、長期的な施設の存続など
- ②新たな産業集積の創出
- 飲食や観光などの周辺産業への波及、経済的効果と雇用の創出など
- ③地域への波及効果を活用したまちづくり
- まちの賑わいの創出、地域住民のスポーツ機会の増加、社会貢献活動や啓発など社会問題の解決など
- ④地域の持続的成長
- 地域の持つ独自性の醸成など
これからのスタジアム・アリーナは、周辺のエリアマネジメントを含む、複合的な機能を組み合わせた多様な世代が集う交流拠点として期待されています。
今回選定された3つのスタジアム・アリーナ
前年度に続き、令和4年度に選定された「多様な世代が集う交流拠点としてのスタジアム・アリーナ」は以下の3施設
「運営・管理段階」又は「設計・建設段階」の施設
- 太田市総合体育館(OPEN HOUSE ARENA OTA)【群馬県太田市】
- TOYOTA ARENA TOKYO【東京都江東区】
- 沖縄アリーナ【沖縄県沖縄市】
選定された施設についてご紹介します。
太田市総合体育館(OPEN HOUSE ARENA OTA)
群馬県太田市
今年2023年4月6日(木)、群馬県太田市に完成した「太田市総合体育館(OPEN HOUSE ARENA OTA)」は、新たなスポーツ観戦体験を提供すべく、国内最大級の大型映像装置や音響・照明などの最新設備、イベントごとに柔軟に対応できる可動式観客席など「観るスポーツ」に重点が置かれた収容人数5000人の施設です。企業版ふるさと納税を活用した新たな資金調達スキームが今回の選定ポイントの一つになりました。プロバスケットボールチーム「群馬クレインサンダーズ」の本拠地であり、バスケットボール男子日本代表国際強化試合2023太田大会が開催されるなど、アリーナを核としたバスケットボールなどのスポーツによる地域活性化が始まっています。
オープンハウスアリーナ太田サイト
https://gunma-cm.com/
TOYOTA ARENA TOKYO
東京都江東区
2025年秋、お台場エリアの青海に開業予定の「TOYOTA ARENA TOKYO」は、トヨタグループにより推進される約1万人収容予定の民設アリーナです。プロバスケットボールチーム「アルバルク東京」がホームアリーナとして使用するほか、スポーツ・音楽を中心としたさまざまなイベントに対応可能な施設となります。グループ企業の特色を活かし、次世代モビリティとの連携によるサービス提供などのアイデアが盛り込まれております。日本の首都・東京にできるアリーナとして、VIPルームなどのホスピタリティ施設に力を入れており、さらには、照明・映像・音響設備といった顧客の体験価値向上に取り組むとともに、国内初となる、LEED*認証取得(予定)を始めとする、サステナブルなアリーナとしての取組も、期待されております。 *LEED: Leadership in Energy and Environmental Design(米国グリーンビルディング協会が運営する建築や都市の環境性能評価システム)
TOYOTA ARENA TOKYO
https://www.alvark-tokyo.jp/a_arena/
沖縄アリーナ
沖縄県沖縄市
「沖縄アリーナ」は、2021年2月、コザ運動公園内に完成した県内最大の多目的アリーナ。プロバスケットボールチーム「琉球ゴールデンキングス」のホームとしてBリーグ公式戦をはじめ、今夏、「FIBAバスケットボールワールドカップ2023」の会場として注目を集めました。すり鉢状に配置された観客席やセンタービジョンがエンターテイメントの体感を高め、観客が熱気と喜びを共有できる空間を設計。プロスポーツやコンサートなどを「観る」ことに重点を置き整備され、海外先進アリーナの水準を誇ります。多様な世代が集う交流拠点として期待されています。
沖縄アリーナ
https://okinawa-arena.jp/
SAGAアリーナで執り行われた表彰式の様子
2023年9月8日、「多様な世代が集う交流拠点としてのスタジアム・アリーナ」に選定された上記3拠点に対しての選定表彰式が、2020年度に選出された佐賀県「SAGAアリーナ」で執り行われました。式のはじめに室伏スポーツ庁長官、南経済産業省大臣官房総括審議官が挨拶。長官は「今回選定された各施設が核となって地域が盛り上がり、さらにその動きが全国に波及することを強く期待します」と語りました。
写真:室伏スポーツ庁長官/南経済産業省 大臣官房総括審議官
選定拠点の代表者に賞状と記念トロフィーが授与され、それぞれの選定拠点の代表がアリーナについてプレゼンテーションを実施。その後、表彰式参加者はグループに分かれ「SAGAアリーナ」の施設ツアーへ。
同アリーナは来年2024年の国民スポーツ大会(国民体育大会から名称変更)、全国障害者スポーツ大会の会場としても使用される予定で、県職員の説明を受けながらメインアリーナ、エントランス、ラウンジなどを視察しました。室伏長官は観客席の座り心地や会場の大きさを実際に確かめていました。
施設ツアー後、山口祥義佐賀県知事からの挨拶と参加者同士が交流を深めるネットワーキングタイムが行われ、表彰式は終了しました。
写真:「SAGAアリーナ」施設ツアーに参加する室伏長官
まとめ
従来のスポーツ施設に対する固定観念から脱去し、地域活性化のあらたな拠点として期待されている「スタジアム・アリーナ改革」。これまで選定された各拠点は、さまざまなアイデアを盛り込みながら地域ごとの特色を打ち出しています。これからのスタジアム・アリーナは、持続可能な経営資源として、まちづくりの中核となっていくことでしょう。