80歳 健康の秘訣は玄米と「ながら運動」「食 × スポーツ」渡邊先生と室伏長官の対談【後編】

渡辺先生と室伏長官

一般社団法人メディカルライス協会理事長・医学博士の渡邊昌先生と室伏広治長官との対談後編。今回は、医療と運動・スポーツにフォーカスして話を伺いました。渡邊先生ご自身は、どのような運動と食事で健康を保っていらっしゃるのでしょうか。

医療費抑制の鍵は予防医学

渡邊

私は、国立がんセンターの勤務後、東京農業大学で10年間、機能性食品の研究をしていました。そこでわかったのは、当時の日本の医学教育のなかに、栄養学と運動生理学が入っていないこと。バランスが欠けていたんです。私は、そこに着目しました。

室伏

先生は著書で、「食で医療費は抑制できる」いう事もお話しされています。スポーツを通じた健康増進も医療費抑制などに貢献すると考えており、我々の政策にも通ずるところがあると感じています。

渡邊

私は、糖尿病になってから20年間、食事と運動で血糖をコントロールし、薬を使いませんでした。

室伏

食事・運動療法は、効果が大きいというわけですね。

渡邊

これまでは、病気になったら薬で治せばいいと思っている人がほとんどでしょう。
しかし、大切なのは予防医学。そもそも病気にならないことのほうが重要なんです。さらにもう一歩踏み込むと、健康な状態でい続ければ、亡くなるその瞬間まで、なんでも好きなことができると考えるに至りました。

室伏

食と運動は、医療費抑制に貢献でき、ひいては健康寿命を延ばすことにもつながるということですね。

渡辺先生と室伏長官2

80歳 私の健康の秘訣は「ながら運動」を習慣に

室伏

新型コロナウイルスの感染拡大が長期化するにつれて、運動不足などにより健康二次被害も長期化することが懸念されています。我々も、多くの人に簡単な運動ができるよう推進していますが、先生が考えるコロナ禍の生活スタイルでの懸念や、取り組むべきことがあればお願いいたします。

渡邊

いろいろな地域で健康づくりに取り組んでいると、冬場の運動はなかなか難しいことに気づかされます。寒いなかで歩いたり走ったりするのも大変です。そこで、ステッパーを使った、階段昇降の運動を私は勧めています。テレビでも見ながら1日に30分行うだけで、大きな効果があるんです。
他には私はいつも、ニュースを見ながらエアロバイクを漕いで、200~300キロカロリーくらい消費しています。

室伏

素晴らしいですね。

渡邊

おかげさまで、おととい80歳を迎えることができました。

室伏

すごい!おめでとうございます。

渡邊

中国では、おじいさんおばあさんが早朝に公園などに集まって気功体操をしています。日本でも、ラジオ体操や歩くことがずいぶん普及してきましたが、社会全体のバックアップが足りないように思います。多くの人が安心して体を動かせるようにするためには、ハード面の整備も、今後必要になってくるでしょう。

室伏

スポーツ・運動の環境整備は、我々が積極的に進めていかなければいけない部分ですね。今後ますます力を入れていきたいと思います。

渡辺先生と室伏長官3

効果的な米食の取り方、最高の組み合せは?

室伏

玄米と健康について研究されている渡邊先生ですが、先生ご自身は、やはり白米より玄米を召し上がりますか。

渡邊

はい。1日2食は玄米です。でも、白米も食べますよ。寿司は白米のほうがおいしいし、外食は白米が多いですからね。私は玄米を一生懸命勧めていますが、「おいしくない」と言う人も一定数います。成分をきちんと測りましたが、少々値が張っても、有機玄米はおいしいです。

室伏

白米と玄米を混ぜるのはいかがですか?

渡邊

いいですね。うちは初めのうちはもち米3割と玄米を混ぜて炊いていました。1日1食だけ玄米を混ぜた米を食べるのでも、十分効果的だと思いますよ。

室伏

玄米以外にいい食品はありますか。

渡邊

大豆ですね。特に、米と豆の組み合わせは最高なんです。大豆は、納豆や味噌など発酵食品になっているものが多いので、腸内環境を良くし、相乗効果をもたらすでしょう。新型コロナウイルスの影響で、食や健康への意識は高まってきていると思いますが、腸内細菌を含め、「体中の細菌と一緒に生きていこう」と、発想を変えていかないといけません。

室伏

名言ですね。私は、選手としては引退しましたが、今後の健康のためにも、意識していきたいと思います。あらためまして、渡邊先生ありがとうございました。

渡辺先生と室伏長官4

米俵の贈呈式 イメージ

アスリートにとって効果的な「米」食とは!「食 × スポーツ」渡邊先生と室伏長官の対談【前編】はこちら

【プロフィール】
一般社団法人 メディカルライス協会理事長 渡邊 昌

  • 慶應義塾大学医学部卒・医学博士
  • 国立がんセンター勤務時代に糖尿病になって食事療法の重要性を知り、東京農業大学教授、さらに国立健康・栄養研究所理事長となり、食育や栄養の問題を深化。退任後、専門誌「医と食」を発刊。
  • 糖尿病を食事と運動で改善
  • 2019年「玄米により未病を治す」をキーワードにメディカルライス協会を設立。
  • 著書に「「食」で医療費は10兆円減らせる(日本政策研究センター)」
    「糖尿病は薬なしで治せる(角川新書)」
    「一生がんにならない食べ方レシピ」
    「医師たちが認めた玄米のエビデンス」など。
  • 農林水産省食の将来ビジョン戦略委員、食と健康調査会座長、厚生科学審議会委員、内閣府食育推進評価専門委員会座長など政府の各種審議会委員を歴任。

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