ラグビーワールドカップ2019™️で日本とアジア圏に広がるラグビー熱!

JSC-JRFU連携ラグビー国際貢献プロジェクト(インド)

2019年9月20日、アジア初開催となるラグビーワールドカップ2019™️が開幕。国内12都市ではプール戦(グループリーグ)が始まり、代表チーム同士による世界レベルの迫力ある試合に、ラグビー競技への注目が集まっています。また、日本開催によってアジア圏におけるラグビー普及への期待も高まっているようです。今回は、これまでスポーツ庁が取り組んできたラグビー普及施策について振り返ってみましょう。

ラグビーワールドカップ2019™️とは

いま一度、ラグビーワールドカップ2019™️についておさらいします。ラグビーワールドカップは、入場者数などで、夏季五輪、サッカーワールドカップに次ぐ「世界で3番目に大きなスポーツイベント」。今回、初めてアジアでの開催となります。これまで日本代表はなかなか結果を残すことが出来ませんでしたが、2015年の前回大会で強豪チーム・南アフリカを下し世界中のファンから長いW杯の歴史の中で「最高の瞬間」に選ばれたほど、注目を集めました。その戦いぶりは注目され、自国開催の初戦となる9月20日のロシア代表戦では満員の観客が見守るなか30-10で勝利し、続く第2戦では、優勝候補の一角であるアイルランドに19-12と歴史的勝利を飾り、初の決勝トーナメント進出が大きく期待されています。

開催都市は全国12都市。札幌市、岩手県・釜石市、埼玉県・熊谷市、東京都、神奈川県・横浜市、静岡県、愛知県・豊田市、大阪府・東大阪市、神戸市、福岡県・福岡市、熊本県・熊本市、大分県で、2019年9月20日~11月2日と、44日間にわたり開催されます。

出場チームは全20チーム。20チームが4つのグループに分かれて総当たりで対戦し、各グループの上位2チームによって決勝トーナメントが行われます。体力の消耗が激しいラグビーは試合と試合の間隔が長く、大会期間が長いのが特長です。プール戦ではチームは全国を移動するため、来日しているサポーターも一緒に全国を移動して、観光やレジャーなど日本滞在を楽しむ傾向にあります。各国の訪日外国人の移動ルートを計算に入れながら、彼らの滞在長期化・消費刺激を狙ったマーケティングの戦略を練ることで、経済効果の拡大が期待されています。

【公式】ラグビーワールドカップ2019日本大会
https://www.rugbyworldcup.com/

スポーツ庁 Web広報マガジン|「40万」人もの外国人が日本へ!ラグビーワールドカップ2019™ でホスト国に期待される効果とは?

ラグビーワールドカップ普及への取り組み

ラグビーワールドカップ 全国を巡回するトロフィーツアー「こども霞が関見学デー」でのトロフィーツアー

ラグビーワールドカップ優勝チームに贈られるトロフィー“ウェブ・エリス・カップ”が巡回する「トロフィーツアー」。2017年11月のイングランドを皮切りに、約2年をかけて20の国と地域を巡回しました。今回、マレーシア、インド、ネパールやチリなど今まで訪れたことのない国と地域も訪れました。もちろん最後の訪問先は「日本」です。各開催都市での一般展示に加え、地元のラグビースクールや大学のラグビー合宿、田んぼラグビーなども訪れ、「インパクト・ビヨンド2019」(日本で開催される「ラグビーワールドカップ2019日本大会」を日本とアジアでラグビーを普及させる絶好の機会と捉え、この地域のラグビー競技普及戦略を図ることを目的としたプログラム)を支援していくことも目的のひとつとしています。また、2018年7月に豪雨により洪水被害に遭われた広島の小学校への訪問、2019年8月には大会アンバサダーや大学ラグビー選手とともに日本一高い富士山へ登頂したことも話題となりました。

ラグビーワールドカップ開幕によって、国内でもラグビーへの応援も高まっていますが、世界的に見ると、日本でのラグビー認知度はまだ低い状況です。スポーツ庁をはじめ関係団体は、数年前からラグビーワールドカップ日本大会のさらなる成功に向けて、「タグラグビーによる競技の普及」「放課後ラグビーによる競技者の拡大」「ラグビーを通じた国際交流」の3本柱で普及・啓発活動を行ってきました。

ノーサイドの精神を学ぶ、未来のラグビー選手たち

放課後ラグビー教室の様子鈴木大地スポーツ庁長官が放課後ラグビーを視察

スポーツ庁では、2012年度より「2019年ラグビーワールドカップ普及啓発事業」としてラグビーの普及・振興に取り組んでいます。その一環が日本ラグビーフットボール協会に委託されたチーム活動を行わない平日のラグビー教室「放課後ラグビープログラム」です。

トップリーグのチーム、都道府県ラグビー協会、大学のラグビー部、NPO団体などが主体となって実施。各地の小学5・6年生~中学3年生を対象に、それぞれ10回程度のカリキュラムが行われています。現在、ラグビー部のある中学校の数は少なく、小学生まで地域のクラブで活動をしてきた子どもたちが、中学生年代でもラグビーを続けられる環境を作ることにより、中学生年代の空洞化・流出を改善し、部活動ではない新しい学外クラブの創設を目指しています。

全国の小・中学生年代へ、ラグビー競技の普及拡大を後押しするのが「タグラグビー」です。タグラグビーは、タックルの代わりとして腰につけた2本の「タグ」(ひも状のもの)を取ることで、激しい接触をなくしたラグビー。小さな子どもたちが大好きな鬼ごっこと深く関連するボールゲームという点で、小学生にもとても取り組みやすく、「運動が苦手でも楽しめる」「安全」「豊富な運動量」「学年や性別を問わない」という特長があります。現在、体育の授業の取り入れやすさから「タグラグビー」は小・中学校学習指導要領へも記載がされています。

タグラグビーを通じて、試合終了後の“ノーサイドの精神”、友達と協力する大切さ、相手を思いやる気持ちといったラグビー独特の文化を学ぶことで、未来のラグビー選手となる小・中学生も増えていくかもしれません。

ラグビーを通じて海外の文化・伝統に触れる

ニュージーランドでの国際交流国際交流プログラム事業で地元高校生と

高校生年代においては「ラグビーを通じた国際交流プログラム事業」を実施。英語およびラグビー技術の向上を目的とした留学プログラムで、過去にラグビーワールドカップを開催したラグビー先進国との国際交流を行います。2015年から毎年、日本の女子生徒10数名がラグビー強豪国の一つニュージーランドを訪問。ニュージーランド人家庭のホームステイ先に滞在し、文化・伝統に触れながら、国際感覚を身につけます。街中の公園などいたるところにゴールポストが設置され、誰もが気軽にラグビーを体験できる環境に驚いたと帰国後のレポートで語られています。ニュージーランドでトップレベルのコーチから指導を受け、英語力の研鑽に努めた経験は、ラグビーの普及およびラグビーの将来を次世代が真剣に考える機会として大いに期待されています。

ワールドカップ日本開催は、アジアにおけるラグビー普及の起点に

ラグビーワールドカップ2019日本大会開催は、国内のみならずアジア圏へのラグビー競技普及の意義も担っています。2011年、日本大会を招致する際、日本ラグビー協会が主催組織であり、世界のラグビーを統括する「ワールドラグビー」に対して提案したのが、アジアへのラグビーの普及です。「アジアンスクラムプロジェクト」と名付けられています。2013年のオリパラ招致を機にスポーツの国際協力・国際貢献事業として官民連携でスタートした 「Sport for Tomorrow プログラム」の枠組みと連携して、さらに強力に推し進めることとなりました。

普及活動は大きく分けて2つ。「アジア各国への指導者などの派遣」 と「アジア各国の選手などを日本へ受け入れ」。

2019年7月にインドで行った普及活動では、日本からラグビー元日本代表選手や、車いすラグビー指導者、スポーツとジェンダーの専門家を派遣 。 コーチ、選手を対象としたラグビークリニックや、競技用車いすを使った車いすラグビー講習会、女性アスリートの環境改善や参画支援のためのジェンダーセミナーを実施。

2018年10月に福岡で行われた「アジアラグビー交流フェスタ」では、アジア・九州のU14少年ラグビーチームが参加。バングラデシュ、ブルネイ、マレーシア、フィリピン、スリランカ、チャイニーズタイペイ、マカオの7 カ国から9チーム、および福岡、長崎、大分の各県から6チーム、合計16チームが ラグビークリニック、ラグビー交流大会、タグラグビーで交流を深めました。

その他にも国内外で積極的に交流活動が行われています。

世界で最も人口が多く若者にあふれているアジアにおいて、若いプレーヤーの発掘や育成はラグビーの世界的な普及・発展に繋がり、「アジアにおけるスポーツおよび社会の変革をもたらす強力な出来事」となる可能性が期待されています。

まとめ

いよいよ開幕となったラグビーワールドカップ2019日本大会。繰り広げられる熱戦の数々が、これまでラグビーに触れてこなかった層にも競技の魅力を伝えてくれるはずですし、これからのラグビー競技を担う若い世代には、スタープレーヤーたちの姿が「夢」と「希望」を与え、日本からもあらたなスタープレーヤーが生まれてくるかもしれません。

この日本大会は、日本において、さらにはアジア圏において、ラグビー人口が増加するきっかけになる重要な大会になることでしょう。

●本記事は以下の資料を参照しています

スポーツ庁 Web広報マガジン|「40万」人もの外国人が日本へ!ラグビーワールドカップ2019™ でホスト国に期待される効果とは?(2019-10-01閲覧)
【公式】ラグビーワールドカップ2019日本大会(2019-10-01閲覧)
【公式】ラグビーワールドカップ2019日本大会 - ラグビーワールドカップ2019™トロフィーツアー(2019-10-01閲覧)
公益財団法人日本ラグビーフットボール協会 - タグラグビーオフィシャルウェブサイト(2019-10-01閲覧)
公益財団法人日本ラグビーフットボール協会 - JRFU放課後ラグビープログラム(2019-10-01閲覧)
公益財団法人 日本ラグビーフットボール協会「ラグビーファミリーガイド」 - 2019年ラグビーワールドカップ普及啓発事業 ラグビーを通じた国際交流プログラム事業(2019-10-01閲覧)
公益財団法人 日本ラグビーフットボール協会「ラグビーファミリーガイド」 - 2019年ラグビーワールドカップ普及啓発事業(2019-10-01閲覧)
ラグビーW杯開幕まで3カ月切る、日本開催の理由-QuickTake - Bloomberg(2019-10-01閲覧)

:前へ

「Sport in Life プロジェクト」発表会 ~生活の中に自然とスポーツが取り込まれている(スポーツ・イン・ライフ)」という姿を目指して~

次へ:

日本人の座位時間は世界最長「7」時間!座りすぎが健康リスクを高める あなたは大丈夫?その対策とは・・・