“楽しむ”ことを大切にする黄金井倶楽部のボッチャ教室

“楽しむ”ことを大切にする黄金井倶楽部のボッチャ教室

スポーツ庁では、スポーツ基本計画に基づいて国民のスポーツ参加を促進するさまざまな施策を行い、国民の誰もが、いつでも、どこでも、いつまでもスポーツに親しむことができる生涯スポーツ社会の実現を目指しています。今回、東京都小金井市で活動している総合型地域スポーツクラブNPO法人「黄金井倶楽部」による「ボッチャde楽らく脳トレ」を紹介します。

パラリンピックでボッチャに興味をもつ人が増えた

NPO法人「黄金井倶楽部」は、2004年度に小金井市内で活動していた3つのスポーツクラブがひとつになって設立された総合型地域スポーツクラブです。「いつでも」「どこでも」「だれでも」「いつまでも」と、老若男女を問わずスポーツに親しめることを目指して活動を行っています。クラブでは、ヨガ、フラダンス、卓球、親子体操など多種多彩な教室をはじめ、イベントや講習会などを通じて市民にスポーツの楽しさを伝えています。今回は数ある活動のなかから「ボッチャde楽らく脳トレ」教室の様子を紹介します。

チーム分けは試合ごとにランダムに行われ、いろいろなチームの組み合わせでプレイ:イメージチーム分けは試合ごとにランダムに行われ、いろいろなチームの組み合わせでプレイ

「ボッチャde楽らく脳トレ」教室を開講したのは2021年4月。年齢や障害の有無に関わりなく、コミュニケーション能力も必要なボッチャは、これまでの黄金井倶楽部にはなかったタイプの教室ということで始められました。最初は参加者が少なく募集活動に苦労されたようですが、2020東京パラリンピック大会でのボッチャ競技で活躍する日本代表選手たちの姿を見た人たちからの応募があり、参加者が一気に増えていきました。2020東京大会がスポーツを始めるきっかけづくりになり、これもオリパラレガシーといえるのではないでしょうか。

競技中はお互いにアドバイスやエールを送り合う参加者の皆さん:イメージ競技中はお互いにアドバイスやエールを送り合う参加者の皆さん

継続できるように“楽しむ”ことが大事

活動の狙いについてNPO法人「黄金井倶楽部」理事長・天野和代さんに話を伺います。
「体を動かし続けることは大切なので、継続できるように“楽しむ”ことを大事にしています。教室に来て楽しかったな、また今度も行きたいなと思っていただきたいです。ボッチャという競技を楽しんでもらうこと、そして挨拶を交わす仲間がいることも大切で、参加者同士で活発なコミュニケーションをして欲しいですね。楽しみながら活動をしていますが、ボッチャの市町村大会に小金井市の代表として出場することを目標に頑張っています。昨秋の予選では惜しくも決勝戦前で敗れてしまいましたが、次こそ代表入りを目指します!」。

NPO法人「黄金井倶楽部」理事長・天野和代さん:イメージNPO法人「黄金井倶楽部」理事長・天野和代さん

「ボッチャde楽らく脳トレ」で指導しているのは、理事の1人でありスポーツ推進委員を務める北原佳代さん。自ら障害者向けの教室でも指導しています。北原さんにクラブでの指導について話を伺います。
「ボッチャの魅力は手軽であること、おもしろいことです。お互いにアドバイスしながら会話も楽しめる数少ないスポーツで、これをやらない手はないですね。新型コロナウイルスの感染がなかなか収まらないですが、生活の中に“楽しい”機会をどれだけ多く作れるか大事だと思っています。
活動において気をつけていることは上下関係を作らないこと。競技を楽しむには勝ち負けが必要ですが、勝ち負けにこだわり過ぎると技術的な優劣ができてしまいます。教室ではなるべく技術にはこだわらず、対話することや一緒に楽しみながら取り組みことを重視しています」。

チーフアシスタントティーチャーとして指導を行う理事・北原佳代さん:イメージチーフアシスタントティーチャーとして指導を行う理事・北原佳代さん

教室ではボッチャの競技以外にも、フレイル防止体操、体幹強化のためのやさしい体操やストレッチが組み込まれています。
「ボッチャはあまり筋肉を使うスポーツではないので、教室ではボッチャの合間にストレッチや反射能力を鍛える体操なども織り交ぜていています。ジャンケンの後出しで「勝つ」「負ける」を切り替えるなど脳や反射神経を刺激する体操も行っています。そちらも生徒の皆さんに好評です」と北原さんは語ります。

指導者が出したジャンケンの手を見てから、参加者は即座にジャンケンに勝つ手、負ける手を出さなければいけない:イメージ指導者が出したジャンケンの手を見てから、参加者は即座にジャンケンに勝つ手、負ける手を出さなければいけない

先週よりもいいショットができたね

実際にボッチャ教室に参加されている方からは「私でも出来るスポーツがあった」「ボッチャはほどよい運動で楽しい」「頭を使うのがいい」などの声があがっています。教室のクラブマネージャーで参加者の1人でもある副理事長の秋澤恵子さんは参加者の様子を語ってくれました。
「私はボッチャ教室の生徒でもあるのですが、みんなで楽しむことを基本に活動しています。ふだん接点の少ない人生の先輩たちと会話をしたり、競技をしたりして楽しみながら、教室はとても良い雰囲気に包まれています。『先週よりもいいショットができたね』とか、お互いに声をかけながら皆さんで成長を褒め称えているのが嬉しいですね」。

教室のクラブマネージャーを務める副理事長・秋澤恵子さん:イメージ教室のクラブマネージャーを務める副理事長・秋澤恵子さん

“人と人との輪(和)”が湧き出る黄金の水のような場所に

黄金井俱楽部の今後の展望について天野理事長にお話を聞きました。
「この2年間、年配の方が外出する機会を失ってしまい、だいぶ筋力も落ちてしまいました。次年度はポールウォーキング教室を開催する予定です。せっかく小金井公園という素敵な場所がありますから、自然豊かな地元を散策しながら体力を回復して欲しいなと思います」。

「昔、黄金に値する豊富な水が出ることから“黄金井”と呼ばれたそうです。私たちはそんな豊かな小金井を継承していきたいという想いから黄金井倶楽部と名付けました。スポーツを通して健康で心豊かな“人と人との輪(和)”が湧き出る黄金の水のように私たちの生活を潤してくれることを願っています」と笑顔で語ってくれました。

「ボッチャde楽らく脳トレ」に参加した皆さん:イメージ「ボッチャde楽らく脳トレ」に参加した皆さん

まとめ

とても楽しい雰囲気に包まれた「ボッチャde楽らく脳トレ」教室では、取材時も指導者、スタッフ(教室世話役)も参加者と一緒に活動を楽しんでいる姿が見られました。参加者の方から「せっかく来たのだからボッチャを体験してください」と誘われ、取材陣も競技に参加させていただきましたが、一投ごとに「よかった」「惜しかった」など声をかけてくれたり、積極的にコミュニケーションをとりながら競技を楽しみました。楽しい気持ちと体を動かす心地よさが相まって、参加者の皆さんが自然と笑顔になる理由がわかりました。スポーツを通じてコミュニケーションの大切さをあらためて学びました。

●本記事は以下の資料を参照しています

総合型地域スポーツクラブ黄金井倶楽部(2022-02-01閲覧)

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