新しい大会へ〜「SAGA2024 国民スポーツ大会」

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2024年10月5日〜15日、「SAGA2024 国民スポーツ大会」が開催されました。これまで“国体”の愛称で親しまれてきた国民体育大会が、「国民スポーツ大会」と名称を変えた初めての大会となります。「新しい大会へ。すべての人に、スポーツのチカラを。」のメインメッセージ通り、これまでの大会にない新しい取組が行われました。デポルターレでは、SAGA2024国スポでの新たなチャレンジを中心に大会の様子を紹介します。

国民体育大会から「国民スポーツ大会」へ

「国民体育大会」は、「スポーツ基本法の一部を改正する法律(平成30年法律第56号)」の施行(令和5(2023)年1月1日)に伴い、令和6(2024)年開催の第78回大会から「国民スポーツ大会」に名称変更(略称「国スポ(こくすぽ)」・英語表記「JAPAN GAMES」)となりました。SAGA2024国スポは「国民スポーツ大会」に変わる最初の本大会となります。

SAGA2024国スポは、SAGAサンライズパークをはじめ佐賀県の各市町(一部県外)で熱戦が繰り広げられました。会期中は37の正式競技、特別競技の高等学校野球(硬式、軟式)、7つの公開競技のほか、ウォーキング、スポGOMI、滝登りなどのデモンストレーションスポーツ28競技が開催され、また、スポーツの楽しさに加え、豊かな自然や歴史、伝統、食など佐賀県の魅力を発信する文化プログラムの数々も行われました。

SAGA2024国スポの新たなチャレンジ

「国体」から「国スポ」に変わる本大会では、「新しい大会」へ向けた取組が数多く行われました。総合開会式では、選手団が自由なスタイルで入場するとともに、パフォーマーが選手団を歓迎。また、選手団と観客が一緒になって盛り上がれるような工夫が各所に盛り込まれた演出へ。総合閉会式はSAGAアリーナで開催され、光・音・映像の演出で大会のフィナーレを彩りました。詳しくは後述いたします。

SAGA2024国スポでは、式典以外にも「新しい大会」へ向けてチャレンジする取組が行われ、ナイトゲームや選手個人にスポットを当てた表彰等も行われました。
仕事終わり等にスポーツ観戦が楽しめるように取り組まれたナイトゲームでは、一部会場で飲食物の販売も行われ、アルコール片手に競技を観戦するという、これまでの国体にはなかった光景も見られました。
各競技の表彰では、『The Good Player of SAGA2024』が創設され、新記録、最高得点、MVPなど、選手個人の活躍にスポットを当てた表彰が行われました。
また正式競技の種目・種別における第4位から第8位の入賞選手にも記念品が授与されるなど、これまでの都道府県対抗の団体戦に加え、アスリート個人へフォーカスを当てている大会となりました。

ナイトゲームが行われたスポーツクライミング競技の会場、飲食物を食べながら観戦する観客の皆さん(バレーボール)、今大会から創設された『The Good Player of SAGA2024』の表彰の場面(陸上競技):イメージ(写真)ナイトゲームが行われたスポーツクライミング競技の会場、飲食物を食べながら観戦する観客の皆さん(バレーボール)、
今大会から創設された『The Good Player of SAGA2024』の表彰の場面(陸上競技)

その他、大会を盛り上げるアイデアを全国から募集する“みんなで”大会のあり方そのものを変えるアイデアを募集するプロジェクト『IDEA2024』を展開し、開催年にちなんだ目標2024アイデアに対して、2106アイデアもの応募が寄せられました。今回の新しい大会の取組として実施した「ナイトゲーム」や「選手個人の活躍にスポットを当てた表彰制度の創設」など佐賀県と提案者の思いが一緒だった取り組みをはじめ、たくさんのアイデアが実現しました。また、審査会で選ばれたアイデアMVI(Most Valuable Idea)も実現し、注目選手やチームのアナザーストーリーを知ることができる広報、世代を超えて一緒に楽しむことができるウォーキングフットボール体験会の開催、授業や部活動でトップアスリートによる技術指導など、いずれもスポーツの可能性を広げる、ワクワクするアイデアばかりでした。

新しい大会を印象付けた総合開会式

10月5日(土)、天皇皇后両陛下御臨席の下、佐賀市SAGAサンライズパーク内「SAGAスタジアム(陸上競技場)」にて、SAGA2024 第78回国民スポーツ大会の総合開会式が執り行われました。開会式には選手・大会関係者と観覧者を合わせて約1万8000人が参加。観覧席は佐賀県選手団のユニフォームに合わせたブルーのシャツを纏った人びとによって青一色となっていました。

佐賀県選手団のユニフォームカラーであるブルーで染まるスタジアム観客席:イメージ(写真)佐賀県選手団のユニフォームカラーであるブルーで染まるスタジアム観客席

選手団入場には、いくつかの新しい試みがありました。これまで選手団は北海道から、もしくは、沖縄から隣接した都道府県の順番での入場でしたが、本大会では1976年に佐賀県で行われた第31回「若楠国体」の次にあたる第32回の青森県の選手団から入場が始まり、昨年開催された特別国体の鹿児島県、そして、最後は開催県である佐賀県が入場するなど、国体・国スポの開催順に行われました。これまでの「国体」のヒストリーを追っていくような演出となっています。

また入場スタイルも整列しての行進ではなく、自由な入場スタイルへと大きく変化。選手団ごとに、ご当地を象徴するようなアイテムを持ったり、地元キャラクターを同行させたり、首長がご当地の偉人などに仮装したりと、それぞれの地域性を全面に打ち出したパレードと変わりました。さらに各選手団のパレードを佐賀県のパフォーマーたちが盛り上げる姿も印象的でした。

入場する佐賀県選手団の皆さん:イメージ(写真)入場する佐賀県選手団の皆さん

それぞれのスタイルで観客席へアピールする各都道府県選手団の皆さん:イメージ(写真)それぞれのスタイルで観客席へアピールする各都道府県選手団の皆さん

選手団入場後、大会開会宣言が山口祥義佐賀県知事によって行われました。山口知事は『挑戦なくして、伝統なし』という佐賀が誇る国指定伝統的工芸品「有田焼」の職人の間で受け継がれる言葉を引用し、挑戦を続けることが伝統となると語りました。

山口祥義佐賀県知事:イメージ(写真)山口祥義佐賀県知事

大会会長・遠藤利明日本スポーツ協会会長からは「大会を通して、アスリートが力を発揮することはもとより、より多くの方がスポーツの力を感じ、佐賀県から日本を元気にする大会となることを期待をしております」と挨拶が行われ、続いて、あべ俊子文部科学大臣は「積み重ねてこられた練習の成果を存分に発揮されるとともに、全国の皆さんとの親睦を深められ、本大会が皆様方にとって心に残るものとなるよう願っております」と選手たちにエールを送りました。
天皇陛下からは「新たな大会の幕開けとして、多くの人々に支えられて開催されるこの大会が、長く心に残る、実り多いものとなることを期待」と激励のお言葉がありました。

遠藤利明日本スポーツ協会会長(左)、あべ俊子文部科学大臣(右):イメージ(写真)遠藤利明日本スポーツ協会会長(左)、あべ俊子文部科学大臣(右)

炬火台への点火では、佐賀県出身の世界的デザイナーである吉岡徳仁さんによる、世界でも類を見ない、透明なガラスのトーチと炬火台が使用されました。その後、佐賀出身の柔道競技・近藤隼斗選手、ラグビーフットボール競技・堤ほの花選手による力強い選手代表宣誓が行われ、本大会の幕が開きました。

炬火台への点火(左)、選手宣誓(右):イメージ(写真)炬火台への点火(左)、選手宣誓(右)

SAGAアリーナで開催された総合閉会式

9月5日(木)から会期前競技が始まり、10月15日(火)に全競技が終了。開催期間中、各都道府県の選手たちによる熱戦が連日繰り広げられました。今年はオリンピックイヤーということで、パリ2024オリンピック大会に出場したオリンピアンも出場し、各競技会場ではハイレベルな試合が展開されたようです。

総合得点では、天皇杯(男女総合)では、1位:東京、2位:佐賀、3位:埼玉。皇后杯(女子総合)は、1位:東京、2位:佐賀、3位:大阪という順位でした。
また、総合成績発表の際には、従来の1~8位入賞の発表ではなく、1~16位まで成績発表が行われたほか、男女総合成績・女子総合成績の発表に加えて、はじめて男子総合成績も発表され、各県選手団の頑張りを称えました。

総合閉会式は、10月15日(火)、佳子内親王殿下御臨席の下、佐賀市SAGAサンライズパーク内「SAGAアリーナ」にて執り行われました。屋内会場での開催ということで、照明や映像、音響を活かし、屋外とは違った華やかな演出が数多く取り入れられていました。県旗入場・パフォーマンスが終わると、大会成績発表が行われ、総合成績上位の選手団には大会会長より表彰状が、佳子内親王殿下からは天皇杯・皇后杯が授与されました。

閉会式での県旗入場・パフォーマンスシーン:イメージ(写真)閉会式での県旗入場・パフォーマンスシーン

室伏スポーツ庁長官は挨拶の中で、国体から国スポへと変わり、新しい取組への挑戦が行われた大会であること、それを実現させた佐賀県民への敬意を伝えます。そして参加アスリートに向けて「本大会に出場された皆さんの中から一人でも多くの、世界の舞台へ羽ばたくアスリートが輩出され、そして活躍されることを期待しております」と語りました。

挨拶を行う室伏長官:イメージ(写真)挨拶を行う室伏長官

炬火は10月26日(土)から28日(月)に行われる第23回全国障害者スポーツ大会へと引き継がれました。その後、山口祥義佐賀県知事から次の開催地の三日月大造滋賀県知事へと大会旗が手渡され、無事に大会のバトンタッチが執り行われました。

まとめ

国民体育大会が、「国民スポーツ大会」へと変わった最初の大会「SAGA2024国スポ」。今年で78回目の開催を迎える伝統のある大会でありながら、数多くの新たな取組への挑戦が行われた大会となりました。これまでは都道府県が競い合う面が大きく取り上げられてきましたが、本大会からはアスリート個人が注目されるような工夫が多く、「スポーツの価値」が広がりつつあることを感じます。
開催地の県民が一丸となれる“場”であり、選手個人にとって貴重な成長の機会でもある国民スポーツ大会は、これからも国民のスポーツ振興を支える大会の一つとなることでしょう。

●本記事は以下の資料を参照しています

SAGA2024 国スポ・全障スポ(2024-11-01閲覧)

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