世界遺産「仁和寺」で武道・日本文化を体験〜BUDOツーリズムフェア2024〜
スポーツ庁では、地域資源とスポーツが融合した「スポーツツーリズム」を推進しています。その中でも「武道ツーリズム」は、文化的価値の高い「武道」の見学、観戦、実技体験など、日本でしか体験できないツーリズムとして海外からも注目を集めています。
「武道ツーリズム」を日本文化と共により多くの方々に知っていただくため、2024年10月11日(金)、京都・仁和寺にて無料参加型のイベント『BUDOツーリズムフェア2024』を開催しました。イベントでは、室伏スポーツ庁長官と都倉文化庁長官、空手家清水希容さんによるトークセッションや、清水さんによる屋外演武、武道ツーリズム関連事業者等による合気道や華道などの体験イベントが行われ、多くの参加者が武道をはじめとする武道・日本文化の奥深さを体感しました。
武道ツーリズムとは?
スポーツ庁では、2018年より、世界の関心が高い日本発祥の「武道」を活かした、希少性の高い「武道ツーリズム」を提唱。2020年に「武道ツーリズム推進方針」を発表し、3つの方針を掲げました。
①武道が日本発祥であることの国際的認知(プレゼンス)の向上
②武道によるインバウンド誘客の促進と地域活性化
③武道体験を通じたファン層等の拡大による日本の精神・文化の国内外への普及・発信
武道ツーリズムでは、卓越性・精神性の高い「武道」、ライト層にも馴染みやすい「BUDO」の両輪で推進し、間口の広い日本独自のツーリズムの創出と、国内外への情報発信に取り組んでいます。『BUDOツーリズムフェア』は、その一環としてスポーツ庁が開催している自由参加型のイベントです。
古都京都でBUDOツーリズムフェア2024を開催
BUDOツーリズムフェア2024は、2024年10月11日、世界遺産の京都・仁和寺にて開催しました。今年は「古都京都の文化財」が世界遺産登録から30周年を迎える節目の年になります。仁和寺の協力を得て、武道ツーリズムの魅力と、多様な日本文化の素晴らしさを体験していただくイベントとなりました。
イベントのメイン会場となるのは仁和寺の御室会館。2階の大広間には、体験および展示コーナーが設置され、武道や日本文化体験の数々が行われました。当日は、仁和寺に参詣しに来た観光客が多数訪れ、各ブースを楽しむ姿が見られました。
武道を身近に感じられる貴重な機会
武道体験では、「合気道体験」(合気道 田辺道場)、「忍者体験」(武蔵一族)、「板割り体験」(横浜武道館)が行われました。いずれのコーナーも訪日観光客を中心に、たくさんの人々が立ち寄り、武道への知見を深めていました。
(写真)合気道体験と実演
合気道体験では合気道の歴史や基本動作についての説明が行われ、実演では師範による華麗な技が披露されると会場からは大きな拍手が起こりました。
(写真)忍者体験と実演
忍者体験では展示される忍者用具に興味津々の外国人たちから多くの質問が寄せられていました。マトを目掛けて投げる模擬手裏剣体験では子供も大人も笑顔で体験を楽しんでいました。
(写真)板割り体験
空手体験では道着を着用して板割り体験を実施。師範から基礎的な動作を教わった後、板に「突き」を入れると見事割れました。割れた板は記念として持ち帰れるのも参加者には嬉しいポイントでした。
日本の“こころ”を学べる文化体験
イベントでは武道のみならず「日本文化」を学べる場として、文化体験も用意しました。
(写真)いけ花体験の様子
仁和寺に伝承されている「御室流華道」による、いけ花体験を用意しました。いけ花を通じて“和のこころ”が参加者に伝えられました。
(写真)「Onigiri Work Shop」の様子
2013年にユネスコ無形文化遺産として登録された「和食」について、今回、日本文化を食からも伝える「Onigiri Work Shop」を農林水産省との協賛で実施しました。日本料理アカデミー理事長・栗栖正博氏の指導のもと、おにぎりの作り方を学びます。ご飯と具材というシンプルさでありながら、日本ならではのアイデンティティが詰まった奥深い料理ということがわかりました。
日本ならではのスポーツ×文化〜「武道ツーリズム」の楽しみ方
日本発祥の“スポーツ”であり、日本特有の“文化”である「武道」。仁和寺二王門前の特設スペースでは、スポーツ庁・文化庁両長官らによる特別トークセッションが行われました。室伏スポーツ庁長官、都倉文化庁長官に加え、武道の実践者である清水希容さん(2020東京空手女子形銀メダリスト)が、武道ツーリズムの魅力や楽しみ方についてトークを交わしました。
(写真)左より、都倉文化庁長官、室伏スポーツ庁長官、清水希容さん
●室伏スポーツ庁長官のコメント要約
「海外からはサイクリングやスキーといったスポーツツーリズムが注目を集めていますが、日本全国にはさまざまな武道があり、武道もそれらに負けない素晴らしいコンテンツです。武道ツーリズムを推進して、できるだけ多くの方に“武道”の魅力を伝えていきたいと思います。
仁和寺のようなお寺を訪ねたり、食事を楽しんだり、武道を軸に地域を活性化していけるのが武道ツーリズムです」
●都倉文化庁長官のコメント要約
「武道とスポーツの違いは“心”だと思います。師匠や先達がいる長い道を進み、高い精神性を持って修行している武道家と、芸術家は通じるところがあると思います。
日本には多様な文化があって世界中の人々はそれに魅力を感じています。そして日本の文化や武道は奥深く、もっと勉強したい・もっと深く知りたいという想いからリピーターのインバウンドも増えています。武道の技だけではなく、その背景までを知るために、自ら体験ができるのが武道ツーリズムの魅力ではないでしょうか」
●清水希容さんのコメント要約
「現役時代は試合で他国に行ってもホテルと試合会場を移動するだけで、その国の良さを感じることができる時間は少なかったのですが、競技から引退して、いろいろな国へ行って観光したい気持ちがあります。
世界的に空手人口は多く、日本文化や武道の“精神性”に魅力を感じている外国の方は多いです。オリンピックを通じて空手のことを知った方も多かったので、先ほどの演武のように、いまは多くの人に武道の魅力を発信したいと思っています」
トークセッション後、室伏長官による「紙風船エクササイズ」体操が行われました。長官が考案したエクササイズは、小さなお子さんからご高齢の方まで実施できるエクササイズです。訪日外国人、修学旅行の途中という学生、体験ブースのインストラクターなど、さまざまな方が参加しました。エクササイズの最後には紙風船を挟みながら全員が大きな輪となって笑顔で終了しました。
(写真)紙風船エクササイズの様子
まとめ
京都市にある世界遺産「仁和寺」での『BUDOツーリズムフェア2024』は数多くの方に参加していただきました。日本発祥の“スポーツ”である「武道」を身近に感じられる体験、「Onigiri Work Shop」や華道体験など日本文化体験の数々は、日本の魅力を伝える「武道ツーリズム」の可能性を示すものとなりました。スポーツ庁では、これからも「武道ツーリズム」および「スポーツツーリズム」の魅力を発信してまいります。
●本記事は以下の資料を参照しています
スポーツ庁 - 「BUDOツーリズムフェア」を開催します!(2024-11-01閲覧)
JAPAN SPORT TOURISM - 武道ツーリズム(2024-11-01閲覧)