スポーツ・健康まちづくりを応援する「スポまち!長官表彰2022」
東京2020大会の終了後、「スポーツツーリズムの推進」「障害者スポーツの体験・交流」「スポーツがしたくなるような環境整備」などの、スポーツを活用したスポーツ・健康まちづくりに積極的に取り組もうとする自治体を応援するため、昨年2021年より「スポーツ・健康まちづくり優良自治体表彰制度(通称:スポまち!長官表彰)」を創設しました。
2022年11月18日、1周年となる「スポまち!長官表彰2022」を開催しましたのでその模様をお伝えします。
スポーツによる地方創生・まちづくり
スポーツ庁では、2022年4月より第3期スポーツ基本計画スタートさせ、その中で「スポーツによる地方創生・まちづくり」が重要な施策の一つとして掲げられました。
スポーツによる地方創生・まちづくり全国各地域で特色ある取組を創出させ、スポーツを活用した地域の社会課題の解決を促進することで、スポーツが地域・社会に貢献していくことが期待されています。
各地域からの「スポーツ×まちづくり」のアイデアを表彰
スポーツのチカラを活用し、地域の様々な社会課題(少子高齢化、住民健康、過疎化、経済衰退など)の解決を図ることを目的とした各自治体のアイデアや今後の総合的なまちづくり計画を募集し、全国から20自治体を優良自治体として選定しました。
各受賞自治体の計画事例についてご紹介します。
写真:授賞式の様子
◆宮城県大河原町/町の中心を流れ、千本桜が咲き誇る白石川の河川敷を中心に、ウォーキング、サイクリング、パークゴルフなど、行政・民間・関係団体が一体となって、市民が日常的にスポーツに接しやすい環境を整備。楽しみながら健康づくりができるまちとして、市民の健康増進と地域活性化を目指します。
◆茨城県笠間市/プロ野球球団を運営する(株)茨城県民球団と市内廃校利活用に係る事業実施協定を締結。廃校となった中学校を複合施設として利活用し、地域の交流の場として創出するとともに、プロスポーツチームと地域・学校との連携・協働を進め、子どものスポーツ能力向上、パラスポーツの普及など「スポーツシティかさま」の推進に取り組んでいきます。
◆茨城県鹿嶋市/医療資源の不足に対応するため、医療データの解析や生活習慣病発症リスクの低減に知見のある事業者との公民連携により、一人一人の発症リスクに応じた運動プログラムを提案し、市民の健康実現を推進。地域のコミュニティも図り、心身の健康と社会的な満足の両面から市民のウェルビーイングを実現します。
◆茨城県境町/人工サーフィン場を活用した持続可能な交流人口拡大・健康まちづくりの実現に向けた取組を推進 。東京2020大会で注目が集まったサーフィンをはじめ、スポーツを核としたまちづくりに取り組み、選ばれる町、住みたい町を目指しています。
◆栃木県栃木市/市内の遊水地に自転車をスポーツとして楽しめる環境整備を行った同市。初心者から上級者まで多くの人が楽しめる自転車専用コースやパンプトラックなどの施設を整備。スカイスポーツやウォータースポーツとともに周辺地域の活性化を推進しています。
◆埼玉県久喜市/2020年に健康・スポーツ都市を宣言した同市ではさまざまなスポーツ施策を実施。地域内の企業や団体と連携し、デジタルスポーツマシンを利用したフレイル予防、介護予防など新たなスポーツのあり方を提案していきます。
◆千葉県長柄町/産官学連携型生涯活躍のまち「長柄町版CCRC」を実践している同町では、千葉大学と連携しながらエビデンスにもとづいたプログラムを通じて、健康増進と生きがい創出に取り組んでいます。
◆石川県宝達志水町/「育てよ!町の宝」をテーマに、シビックプライドの醸成に向けてスポーツ文化コミッションが中心となり、町内関係団体と連携し、スポーツ×文化による地域活性化を推進。若者や子育て世代が魅力を感じるまちづくりを実践しています。
◆山梨県韮崎市/今年2022年3月に設立したスポーツコミッションでは、市民の健康・生きがいづくりとトレイルランなどのスポーツイベントの一元化を柱に「ウエルネスの実現」に基づく接続可能なまちづくりを目指しています。
◆長野県長野市/地域密着型プロスポーツチームを市の大切な資源とし、チームと市で「ホームタウンNAGANOまちづくり連携推進ビジョン」をスタート。スポーツで「まち」が元気になる好循環を創出し、スポーツの成長産業化・基幹産業化を目指しています。
◆静岡県磐田市/プロスポーツチームの活動拠点として知られる同市では、豊富なスポーツ資源を活かし、市民がスポーツの楽しさを体感し、健康に暮らせる環境の整備や運動プログラムの開発・普及などに取り組んでいます。
◆静岡県御殿場市/東京2020大会でのレガシーである空手を活かし、空手文化の創造、スポーツ交流人口の拡大を中心としたまちづくりを市、スポーツタウン御殿場推進協議会や関係団体が一体となり目指しています。
◆大阪府松原市/「スケートボードパーク」を核として、「スケボーのまちまつばら」の実現に向けたブランディング確立および地域課題の解決につながるさまざまなプロジェクトを実施。若者世代の交流と定住人口増加に取り組んでいます。
◆大阪府東大阪市/日本初となる屋外型ウィルチェアスポーツ施設を開設し、車いすスポーツの普及活動に取り組んでいます。市内町中学校に車いす体験授業を取り組むなど、車いすユーザーの気持ちや立場となって考えるインクルーシブ教育も実施しています。
◆岡山県赤磐市/ホッケー場を核に、ホストタウンとして継続している国際交流を活かした、スポーツ人材育成や地域活性化や、多彩なサイクリングルートを通じた自転車による健康まちづくりを、地域一体となって進めていきます。
◆徳島県三好市/自然を活かしたアウトドアスポーツのまちづくりを掲げ、手軽に水辺スポーツを体験できる環境を整備。新たな観光コンテンツの造成を中心としたまちづくりの魅力を伝えていきます。
◆佐賀県武雄市/武雄温泉を利用したスポーツコミッションを設立し、スポーツツーリズム人材育成、大会および合宿の招致など、スポーツのまちづくりにチャレンジしていきます。
◆佐賀県みやき町/2020年に女子サッカーのまち宣言を行い、全国自治体初となる女子サッカー推進室を設置。スポーツコミッションを中心に各団体と連携して、女子サッカーを核としたスポーツを通じたまちづくりに取り組んでいます。
◆熊本県大津町/地勢と交通の利便性といった大津町の特徴を活かしてスポーツ大会の誘致などに取り組み、着地型観光商品として武道ツーリズムやアウトドアスポーツツーリズム、文化ツーリズムなどの開発や販売を推進し、地域経済の活性化、交流人口の拡大に取り組んでいます。
◆宮崎県都農町/行政と民間の協働、スポーツ選手とのマッチングによる地域おこしを実践。スポーツで町内を活気づけ、引退したスポーツ選手のセカンドキャリア創出など、町内に残る若者を支援し、地域活性化に取り組んでいます。
「スポまち!長官表彰2022」受賞自治体一覧
No. | 自治体名 | 取組名称 |
---|---|---|
1 | 宮城県大河原町 | 千本桜スポーツパークを活用したWell-beingなまちづくりプロジェクト |
2 | 茨城県笠間市 | プロスポーツチームと連携した「スポーツシティ かさま」の推進 |
3 | 茨城県鹿嶋市 | 「医療の不足を補完する,市民が自分でコントロールできる健康の実現」を目指した公民連携事業 「鹿嶋市MVMヘルスケア事業」 |
4 | 茨城県境町 | 子育て世代等も楽しめるサーフィンを活用したまちづくり ~ホノルル市と姉妹都市の海のない町の挑戦!~ |
5 | 栃木県栃木市 | サイクルスポーツで賑わいのあるまちづくりプロジェクト |
6 | 埼玉県久喜市 | 地域内連携やデジタル技術を活用したスポーツ・健康まちづくり! ー久喜市健幸・スポーツ都市プロジェクトー |
7 | 千葉県長柄町 | 長柄町版大学連携型生涯活躍のまち(長柄町版CCRC) |
8 | 石川県宝達志水町 | 育てよ!町の宝 ~郷土愛を育む"スポーツ×文化"による地域活性化プロジェクト~ |
9 | 山梨県韮崎市 | 韮崎市「ウェルネスの実現」まちづくり計画 |
10 | 長野県長野市 | ホームタウンNAGANOまちづくり連携推進ビジョン |
11 | 静岡県磐田市 | スポーツでつくる!育てる!磐田の未来創造プロジェクト ~スポーツのまちを体感できるまちづくり~ |
12 | 静岡県御殿場市 | TOKYO FORWARD 空手道で教育・文化・経済を活性化! |
13 | 大阪府松原市 | 「スケボーのまち」で地域に誇りを!まつばら シビックプライドプロジェクト |
14 | 大阪府東大阪市 | ウィルチェアスポーツを通じたまちづくりの推進プロジェクト |
15 | 岡山県赤磐市 | スポーツで未来へ希望芽生える健康まちづくり事業 |
16 | 徳島県三好市 | 三好市アウトドアスポーツのまちづくり計画 Amazing Watersports experience in Miyoshi city |
17 | 佐賀県武雄市 | 「武雄×スポーツ」まちづくりを始めます! ~SAGA武雄温泉スポーツコミッション事業~ |
18 | 佐賀県みやき町 | 女子サッカーのまち ~「する」「みる」「ささえる」で「健幸」になる~ |
19 | 熊本県大津町 | スポーツと文化で大津町の魅力を発信! ~地域経済活性化プロジェクト~ |
20 | 宮崎県都農町 | つの職育プロジェクト ~スポーツ選手による町の課題解決~ |
式典では20の自治体を表彰、ゲストによる特別トークショーも
式典では表彰に先立ち、室伏スポーツ庁長官とゲストを招いての「トークセッション」が行われました。ゲストは増田明美さん(スポーツジャーナリスト・大阪芸術大学教授)、大山加奈さん(元女子バレーボール日本代表)、そして今回受賞した長野県長野市の荻原健司市長(元スキーノルディック複合日本代表)も加わり、「スポーツのチカラで地域に活力を」をテーマに「スポーツによる地方創生、まちづくり」、「スポーツと健康」について話されました。
写真:トークセッションの様子(左から増田明美さん、荻原健司市長、大山加奈さん、室伏スポーツ庁長官)
市長になってからラジオ体操を始めたという荻原健司市長は、自ら率先して地域の健康増進を促しているといいます。「多様性のある社会のなかで障害のある人や、いろいろな人とで地域のコミュニケーションを深め、スポーツによる地域振興に取り組んでいきたい」と語りました。
写真:荻原健司市長
これまでスポーツで子どもたちを笑顔にしたいと活動してきた大山加奈さんは、出産してから、子どもたちが笑顔になるにはお母さんたちが笑顔になることが一番大切だと思うようになったと言います。お母さんが元気になるために、「小さい子どもでも安心して預けることができる環境が増えることで、少しでもお母さんがスポーツを楽しめるひとときが増えれば嬉しい」と語ります。
写真:大山加奈さん
「スポーツで健康」のテーマで室伏スポーツ庁長官は、スポーツは健康増進には欠かせないものだと思います。新型コロナウイルス感染拡大による自粛期間中に心身に不調を訴える人が増えているようです。「スポーツは心と体の健康に寄与するものなので、それぞれに合ったやり方で体を動かすことが大切です。また体を動かすだけではなく睡眠や食事といったことも自分で管理することも健康維持には必要」と語りました。
写真:室伏スポーツ庁長官
ファシリテーターとしてトークセッションの進行を行っていた増田明美さんは、「今日の話がこれからの地域のまちづくりに役立てるヒントとなって、今後も人々が爽やかにハッピーに生きていけるように時間を共有できたらいいなと思います」とセッションを締めました。
写真:増田明美さん
その後のステージでは、「Let's スポまちエクササイズ!」も行われ、ゲストと一緒に来場者全員で新聞紙を片手だけで丸め固める室伏スポーツ庁長官が考案したエクササイズで盛り上がりました。
写真:来場者全員で「Let's スポまちエクササイズ!」が行われた
全国各地域で特色ある取組を創出させ、スポーツを活用した地域の社会課題の解決を促進することで、スポーツが地域・社会に貢献していくことが期待されています。
式典ではイベントのハイライトである全国の「スポーツ・健康まちづくり」に取り組む各自治体への表彰が執り行われ、表彰後は各自治体による取組紹介と首長のコメントが述べられました。式典の最後には、室伏スポーツ庁長官が後日訪問する自治体を抽選で決める「スポまち!ピックアップ」が行われ、空手でまちづくりを行う静岡県御殿場市が選ばれ、会場では大きな歓声が上がりました。表彰式典には地方のメディアも多数参加し、式典の様子が全国のメディアで取り上げられました。取組への関心がますます高まることを期待し、今後の自治体の動きにも注目したいです。
写真:自治体へ賞状を手渡す室伏スポーツ庁長官
写真:抽選で「スポまち!ピックアップ」に選ばれた静岡県御殿場市の皆さん
まとめ〜スポーツによる「まちづくり」を応援します!
「スポまち!長官表彰2022」を通じて、地域での「スポーツ・健康まちづくり計画」がより一層進めやすくなることを期待し、スポーツ庁として、積極的に取組を行う自治体を応援していきます。
●本記事は以下の資料を参照しています