安全で安心な大学スポーツ活動のために日本初の安全安心認証「UNIVAS SSC」制度がスタート

安全で安心な大学スポーツ活動のために日本初の安全安心認証「UNIVAS SSC」制度がスタート

一般社団法人大学スポーツ協会「UNIVAS(ユニバス)」では、大学スポーツ活動の安全で安心な環境を整備するため、MS&ADインシュアランスグループホールディングス株式会社と連携して、日本初となる安全安心認証「UNIVAS SSC」制度を構築しました。本制度の導入により、UNIVAS加盟大学・競技団体にどのようなサポートが行われていくのでしょうか。UNIVAS SSC制度について取材しました。

大学スポーツに関わる人々が安全安心な環境で活動できるように

2020年、新型コロナウイルス対策をはじめ、団体および選手の健康管理など大学スポーツ界内の「安全安心」が大きな注目を集めました。UNIVASでは2019年度の「安全安心ガイドライン」に加え、昨年2020年度には「UNIVAS大学スポーツ活動再開ガイドライン」を策定。新しい生活様式を踏まえた新たな練習スタイルの確立、安全性の確保を目指していますが、ガイドラインの推進状況は各会員に委ねられている部分が多いのが現状です。今年2021年5月より、UNIVASではガイドライン推進に向けて、安全安心認証制度を中核にした「UNIVAS SSC」制度の導入に至りました。

参考 = DEPORTARE過去記事『UNIVASがコロナ禍で果たした役割とは? 安全安心ガイドラインを構築』
https://sports.go.jp/tag/country/univas-2.html

日本初となる安全安心認証「UNIVAS SSC」制度

「UNIVAS SSC」とは「UNIVAS Safety and Security Certification」の略称です。ガイドラインを活用した安全で安心な大学スポーツ活動の環境を整備するため、ゴールドパートナーであり、保険会社を有する「MS&ADインシュアランス グループ ホールディングス株式会社」と連携。加盟大学および競技団体にとって「事故予防体制」および「事故時対応体制」を充実させる仕組みづくりを目指します。

「事故予防体制」では、安全管理体制の整備、事故情報の共有、医療従事者などの配置、ハラスメント防止の整備を行います。
「事故時対応体制」では、連絡経路の確保、事故情報の集約化、再発防止策や安全管理体制の作成と実行を行います。

スポーツ庁でも「UNIVAS SSC」制度の導入に対して、2021年度事業において支援を行うことを採択し、補助金支給など制度の普及を応援しています。

UNIVAS SSCの概要

安全安心認証の付与を受けるには?

安全安心認証の付与を受けるには認証申請があり「達成目標基準」に達していることが必要となります。「達成目標基準」には、UNIVASが策定した「安全安心ガイドライン」で推進すべき取り組み項目が設定されており、必須項目5項目+推奨項目8項目の計13項目があります。UNIVASおよび認証支援機関による文書評価、現地調査が行われます。

認証評価項目で評価点を満たすことが条件ですが、現段階でクリアしていなくても対応する準備が整っていることで評価点として加算されることもあり、多くの大学や競技団体が認証しやすいような配慮も行われています。申請は強制ではなく、あくまでも各団体が任意で行うものです。今回「UNIVAS SSC」制度の第一号認証は、いち早く認証審査を申請し、必須・推奨項目の評価基準をクリアした中京大学(愛知県)が受け、現在のところ、認証申請準備を行っている大学、競技団体は20件ほどあり、制度の認知・理解が進むことで認証会員の拡大が期待されます。

UNIVAS SSCの運用スキーム

大学や競技団体としてメリットは? UNIVAS SSC補償制度について

安全安心認証の付与された会員には「UNIVAS SSC補償制度」が自動付帯されます。加盟大学および競技団体の安全管理体制に向けた各種支援や、万が一の重篤事故に対する迅速な救済・補償が提供されます。

「体制整備プログラム」では、ガイドラインに反する行為が起きた場合、事故の事実調査や原因究明、再発防止の向けた体制強化などに費やした費用についてバックアップ。
「賠償プログラム」では、大学スポーツ活動内にて、指導者の業務遂行が起因した選手の負傷などの賠償責任において損害等が補填されます。

保険期間は2021年6月1日〜2022年4月1日(以後、毎年4月1日から1年ごと更新)。初回の保険料についてはUNIVASが負担し、会員側では支払うことはなく、次回更新からの支払いとなるため、費用的なメリットも大きいのではないでしょうか。

UNIVAS SSC補償制度

今後の展望について

UNIVASでは、参加する大学と競技団体に「安全安心ガイドライン」がさらに浸透することを目指し、今年度100件の認証を目標に掲げています。「UNIVAS SSC」制度の説明会も数多く開催されています。安全安心認証によってUNIVAS未加盟の大学や競技団体にも安全管理体制への意識の高まりが期待され、さらにはUNIVASの存在が広まることでしょう。

まとめ

これまで大学スポーツでは、練習時や競技時における事故対応、ハラスメント防止体制など、選手・指導者・スタッフの安全管理体制が万全とはいえない状況もありました。「UNIVAS SSC」は、大学スポーツ活動の安全性確保に向けた環境整備の促進、および組織マネジメント能力の向上に大きな影響を与えるのではないでしょうか。

●本記事は以下の資料を参照しています

スポーツ庁 - UNIVASがコロナ禍で果たした役割とは? 安全安心ガイドラインを構築(2021-08-01閲覧)
UNIVAS SSC – UNIVAS Safety and Security Certification(2021-08-01閲覧)
UNIVAS (ユニバス) – 大学スポーツ協会公式サイト(2021-08-01閲覧)

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