UNIVASがコロナ禍で果たした役割とは? 安全安心ガイドラインを構築

UNIVASがコロナ禍で果たした役割とは? 安全安心ガイドラインを構築

大学スポーツを横断的に統括する組織として2019年に設立された一般社団法人大学スポーツ協会、略称「UNIVAS(ユニバス)」。大学スポーツの総合力を競う競技横断型大学対抗戦「UNIVAS CUP」の開催をはじめ、動画配信、パートナーシップの発表、UNIVAS AWARDS、各種セミナー開催など、大学生アスリートの環境整備に努めてきましたが、2020年は新型コロナウイルス感染症のまん延で、どのような影響を受けたのか、また、どのような対応を行ってきたのでしょうか。

コロナ対策の知見、対策を大学スポーツ界横断的に共有

UNIVASは221大学35競技団体が加盟し(2020年12月現在)、「学業充実」「安全安心」「ファン層拡大」といったテーマを掲げ、大学スポーツの振興と大学スポーツ参画人口の拡大に向けて活動を行ってきました。

2020年も「UNIVAS CUP」(競技横断型大学対抗戦)開催など、大学スポーツの振興に向けたさまざまな活動が予定されていましたが、5月の時点では多くの試合やイベントが中止や延期に。運営側としては、学生にとっては1度しかない貴重な時間ということで、「どうすれば開催ができるのか」を模索しながら取り組んできました。

一方で図らずも、大学スポーツを横断的に統括する組織としてUNIVASの設立により、コロナ対策など安心安全な環境づくりとして、情報を共有して効率的に対策をしていくことを可能にした機会となりました。UNIVASの設立以前は、元々大学スポーツは競技団体間でも、または大学内の運動部間でも、統括する組織が存在せず個別の活動が大半で、情報や知見の共有などができない環境が長く続いていたのです。

昨年6月にはUNIVASが統括団体として、活動再開や新型コロナウイルス対策のガイドラインを示した「UNIVAS大学スポーツ活動再開ガイドライン」を公開し、9月には全競技ではありませんが、今年度も「UNIVAS CUP 2020-21」を開催となりました。

競技再開の判断に関しては、競技ごとの特性も踏まえ主催となる学連(学生競技連盟)や競技団体が担い、UNIVASは、感染症対策として検温や消毒など必要なものを各団体に供給できる体制づくりを行い、感染を広げないための対策を施すことにフォーカスして対応。そのほかに「UNIVAS安全安心ガイドライン」の策定、スマートフォンで簡単に入力できる「体温・体調管理システム」の無償提供など、UNIVAS独自の指針を打ち出し、すべての競技に向けて安全安心なスポーツ環境づくりを徹底しました。

UNIVAS安全安心ガイドラインUNIVAS提供資料をもとに作成

UNIVAS(ユニバス)-安全安心ガイドライン
https://www.univas.jp/article/11322/

UNIVAS(ユニバス)-新型コロナウイルス感染症対策「UNIVAS大学スポーツ再開ガイドライン」
https://www.univas.jp/article/17639/

無観客で活きた試合の無料ライブ配信

多くの試合が無観客で開催されたため、試合の様子をオフィシャルサイトで無料動画ライブ配信も行いました。これまでの試合のハイライトの録画配信に加えて、応援に行けない学生や家族ら学生スポーツファンには試合のライブ動画配信は好評でした。「当たり前のことが当たり前じゃなくなった状況でライブ動画配信数を増やしたことは、大学スポーツを応援する方々に有益なコンテンツになったと思います。コロナ禍でなければ気づかなかったかもしれません」とUNIVASの広報担当は述べます。

この動画配信では「UNIVAS スポーツ実況アナウンス講座」に参加した大学生が試合実況を担当。大学スポーツを支える学生の育成の場にもなっています。また「#スポーツを止めるな」という選手たちのプレー動画をSNSで拡散するプロジェクトも応援しました。

UNIVAS(ユニバス)-試合動画(見逃し配信・ハイライト)
https://www.univas.jp/project/match_video/

試合配信 イメージ

コロナ禍でのオンラインキャリア形成支援

UNIVASでは独自の情報活用プラットフォームを通じて、学生にさまざまなオンラインサービスを提供しています。デュアルキャリア形成支援サービス「デュアルキャリアプログラム」をはじめ、トップアスリートや著名人によるオンライン特別講座を受講することができます。

また、オンラインを活用しながらリーダーズキャンプ、GMGミーティングといった各種セミナーや、「運動部学生のための就職セミナー」では、オンラインセミナーなど就職活動のサポートも行っています。コロナ禍で運動ができない状況だからこそ、すべてのスポーツ学生がキャリア形成に取り組める環境づくりに注力しました。

セミナー イメージ

UNIVAS(ユニバス)-デュアルキャリアプログラム
https://www.univas.jp/project/dual_career/

開催すると決めた時点でどれだけの努力を重ねてきたのか

最後に、UNIVASの広報担当に振り返ってもらいました。

「私は時間が許す限り大会会場に足を運びました。そこで多くの学生が大会を開催できたことに対する感謝の気持ちを述べていたのが印象的です。
学連の委員長が『大会を辞める決断をするのは簡単だったかもしれないけど、やると決断した時に安全に実施するにはどうやってやるかを全員で話し合いながら頑張ってきて、試合をする選手たちの姿を見てホッとした』とおっしゃっていました。確かに、やると決めた時点で試合に関わる方たちがどれほどの努力をしてきたのか考えると感慨深いです。当協会は引き続き大会が安全で安心して行えるよう環境の整備と、学生スポーツの価値向上に向け動画配信に注力してまいります。」

まとめ

2020年、コロナ禍で競技活動の制限が多かったスポーツ学生たち。これまでの練習成果を示す重要な機会を失った選手も多く、競技へのモチベーションを保つのが厳しかったかと思います。そうした状況のなか、UNIVASは、学生が人生やスポーツに前向きに取り組み、自分の未来を切り拓けるよう、単に中止ではなく、どうすれば開催できるのかを考え、統括団体としてさまざまなアプローチを行ってきました。

また、今回、競技活動ができない状況だったからこそ、キャリア形成とスポーツの両立を図る「デュアルキャリアプログラム」の意味も大きかったのではないでしょうか。コロナ禍を通じて、UNIVASの役割、存在意義が再確認されたように思います。

本記事は以下の資料を参照しています

UNIVAS (ユニバス) - 大学スポーツ協会 オフィシャルサイト(2021-01-01閲覧)

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