「スポまち!長官表彰2023」開催! 26自治体の取組を表彰!
2023年11月10日、都内にて「スポまち!長官表彰2023」が開催され、26自治体が表彰されました。「スポまち!長官表彰」とは、スポーツ庁が2021年に創設した制度で、スポーツを利活用したスポーツ・健康まちづくりに積極的に取り組もうとする自治体を応援し、各自治体のアイデアの中から優良自治体を審査・選出して表彰するもので、正式名称は「スポーツ・健康まちづくり優良自治体表彰制度」といいます。デポルターレでは昨年に引き続き、今年で3回目となる「スポまち!長官表彰2023」の模様をお伝えします。
(写真)式典冒頭で主催者代表挨拶を行う室伏長官
各地域からのスポーツによる「まちづくり」のアイデアを表彰
スポーツのチカラを活用し、地域が抱えるさまざまな社会課題(少子高齢化、健康福祉、過疎化、経済衰退など)の解決を図ることを目的としたアイデアや今後の総合的なまちづくり計画を全国から募集し、26自治体が優良自治体として選定されました。
各受賞自治体の計画事例についてご紹介します。
◆岩手県住田町/森林・林業日本一の町と呼ばれる同町では、2008年よりスウェーデン発祥の薪投げゲーム“クッブ”の大会「クッブ・ジャパン・オープン in 住田町」を開催。将来は同競技のワールドカップを開催して国際交流を図り、さらなる町の活性化に取り組みます。
◆宮城県石巻市/「いしのまきスポーツコミッション」の運営を支援して、復興・震災伝承×スポーツ、盛んな武道など同市のスポーツ資源を活かした取り組みを展開。観光や市民の健康増進など地域活性化を目指します。
◆山形県酒田市/女子バレーボールチーム「アランマーレ」を核として、プロチームと共に市民が活躍するまちづくり、スポーツ健康ホームタウンづくりに取り組みます。事業実施に向けて、2026年のスポーツコミッション設立を予定しています。
◆福島県矢吹町/同町では「スポーツ×デジタル振興プロジェクト」を推進。官民連携によりスポーツ科学に基づいたソフト事業の開発をはじめ、デジタル技術を活用した住民のウェルビーイング向上を加速化します。2024年にスポーツコミッションを設立予定です。
◆茨城県笠間市/ゴルフを活用した「ゴルフのまち かさま」の普及と振興を図ります。ゴルフの基礎が学べて生涯スポーツとしても注目される「スナッグゴルフ」を通して、子どもや未経験者にゴルフを身近に感じる環境づくりを進めます。
◆茨城県境町/オリンピックレガシーを継承し、全天候型アーバンスポーツパークを核としたまちづくりに取り組みます。東京2020大会BMX競技の施設を移設した全天候型施設を整備。国内大会の誘致や競技人口の普及など、新たな交流も促します。
◆栃木県/昨年、国体・障スポ大会を成功させた同県では両大会のレガシーを継承し、県内のスポーツを活用した「新しいとちぎ」づくりを推進。栃木県スポーツコミッションを中心に大会・イベント・合宿の誘致、スポーツツーリズムの推進に取り組みます。
◆栃木県那須塩原市/豊かな自然、多種多様な温泉、魅力的な食と宿泊施設といった“那須塩原ブランド”を活かした「スポーツ・健康まちづくり“那須塩原モデル”」を目指します。スポーツコミッションを中心に自然資源を活用したスポーツの推進や市民の健康づくりに取り組みます。
◆埼玉県久喜市/市が一体となって3人制バスケットボール「3x3」の普及啓発を行い、市民のスポーツコミュニティを醸成します。プロチーム・市民団体・企業・学校が一緒になって未来の3x3スタープレイヤーを育成。若年層にスポーツの楽しさを伝えます。
◆東京都品川区/品川区・日本ホッケー協会・東京都ホッケー協会の三者はパートナー協定を締結。区では「しながわホッケー地域応援プロジェクト」を立ち上げました。ホッケーをきっかけに地域の賑わい創出と、スポーツを「する」「みる」「ささえる」人口の拡大を目指します。
◆神奈川県横須賀市/ホームタウンチームの拠点の存在や国際大会誘致を契機とし、スポーツを核としたまちづくり「横須賀モデル」を目指します。自然や歴史などの地域資源を利活用したスポーツ文化の創造や、子どもたちに夢や感動を育みながら地域への愛着を醸成します。
◆長野県東御市/標高差1,500mの地勢を活かしたスポーツツーリズムの創出でまちを活性化。標高の高さを転換思考で地域資源に繋げ、国内でも珍しい高地トレーニングエリアを整備。東京2020を経て選手や監督・コーチなどの口コミ発信で認知度が急上昇。
◆静岡県磐田市/市民のウェルビーイング向上を目指す同市。生活の隙間時間に可能な運動プログラムの開発、新たなスポーツを活用した運動機会の創出、健康増進のための運動・スポーツの習慣化など、スポーツで心と体を元気にする取り組みを行っています。
◆静岡県藤枝市/“蹴球都市ふじえだ”では、同市に根付くサッカー文化を活かし、スポーツによる“まち”と“ひと”が元気な健康都市実現を目指します。サッカーを通じて体を動かす楽しさを伝え、他競技などスポーツ活動および文化芸術活動も活性化と成長を促進します。
◆愛知県安城市/スポーツをフックにした“まちづくりマインド”を醸成する同市。市民でスポーツチームを応援しながら地域コミュニティづくりに取り組み、誰もがマチナカでスポーツと関わり合える“楽しいまち”を目指します。
◆愛知県美浜町/地域の社会問題に対してスポーツを活用した“まちづくり”に取り組む同町。美浜町運動公園の整備を起点に、スポーツと健康・福祉・教育・経済を連動した「スポーツを核としたまちづくり事業」で、町の活性化を図ります。
◆三重県松阪市/今年2023年4月、リオ五輪金メダリスト(レスリング女子69kg級)の土性沙羅さんが松坂市役所に入職。オリンピアンだからこそ伝えられる“スポーツのチカラ”を活かしたプロジェクトを市が推進します。
◆大阪府堺市/同市は自転車を活用した健康増進・産業振興・都市魅力の創出で“サイクルシティ堺”を目指します。自転車産業に関わる歴史・文化の情報発信、自転車で巡る町の魅力と楽しみ、自転車競技の普及・発展と、産学公民連携で取り組みます。
◆和歌山県田辺市/スポーツ合宿を核として「スポーツ振興」「交流人口の増加」「地域の活性化」を推進します。国体等で整備した施設を活用してスポーツ合宿の誘致をはじめ、スポーツ資産を活用した取り組みで、人口減少への対応と地方創生を目指します。
◆山口県萩市/スポーツを通じた持続可能な「まちづくり・ひとづくり」を推進する同市。東京・青山学院大学陸上部と連携し、スポーツ指導者の育成・地域スポーツコミュニティの創出など、地域資産とスポーツを融合させた地域活性化に取り組んでいます。
◆愛媛県今治市/「ヒト・モノ・健康」を活かしてスポーツで地域振興を目指す今治市。「瀬戸内しまなみ海道」を活用したサイクリング・ウォーキング人口を増やすプロジェクト、「今治市スポーツパーク」を中心に企業と連携して賑わいを創出するプロジェクトに取り組んでいます。
◆高知県土佐町/同町のスポーツと観光の拠点・湖の駅“さめうらレイクタウン”を中心にカヌー競技振興×学校部活動の地域連携で新事業を創出します。そしてITフル活用のビジネスインフラを構築して事業を推進。将来インフラは地域に開放します。
◆長崎県川棚町/同町ではホッケー競技を中心に「まち」「ひと」を繋げるプロジェクトを始動。県内唯一の公認ホッケー場を整備、豊富な地域資源を活用したスポーツ合宿の推進、新たなホッケープログラムの開発などで、交流人口の拡大と賑わいを創出します。
◆宮崎県新富町/2つのプロサッカーチーム(男女)のホームタウンとなる同市では、サッカーによるまちづくり事業を推進。サッカーの応援を通じて町の一体感に加え、交流人口の拡大や町内外の人々との繋がりによる「新しい人の流れ」により地域活性化を目指します。
◆鹿児島県大崎町/町民のスポーツ機会を増やし健康増進や新たな交流を促す「インナー事業」と、スポーツ合宿・大会の誘致やツーリズムの推進で交流人口増加や経済循環を図る「アウター事業」の二本柱で地域活性化に取り組んでいます。
◆沖縄県石垣市/スポーツツーリズムとスポーツマッチングで地域活性化を図る同市。今年2023年にスポーツコミッションを設立し、沖縄発祥「空手」を活用した取り組みを積極的に推進。個人の体力や年齢にあったスポーツと出会える環境の提供など、市民に向けたスポーツ推進にも取り組んでいます。
「スポまち!長官表彰2023」受賞自治体一覧
No. | 自治体名 | 取組名称 |
---|---|---|
1 | 岩手県住田町 | 「森林・林業日本一の町」における“クッブ”を活用した交流の促進! |
2 | 宮城県石巻市 | スポーツでみんなが煌めくActive City ISHINOMAKI ~いしのまきスポーツコミッション事業~ |
3 | 山形県酒田市 | プロスポーツチーム「アランマーレ」を核としたスポーツ健康ホームタウンづくり |
4 | 福島県矢吹町 | 矢吹町スポーツ×デジタル振興プロジェクト |
5 | 茨城県笠間市 | ゴルフでつながる新たなコミュニティ~KASAMAモデル~ |
6 | 茨城県境町 | “移住者”を呼び込む!“全天候型”アーバンスポーツパークを核とした茨城県境町のまちづくり ~オリンピックレガシーの継承~ |
7 | 栃木県 | とちぎスポーツの活用による地域活性化推進戦略 |
8 | 栃木県那須塩原市 | スポーツ・健康まちづくり【那須塩原モデル】で地域活性化プロジェクト―那須塩原スポーツコミッション始動!― |
9 | 埼玉県久喜市 | 地域が場を作り、学生が盛り上げる!3人制バスケを通じたまちづくり「3×3 KUKIプロジェクト」 |
10 | 東京都品川区 | しながわホッケー地域応援プロジェクト |
11 | 神奈川県横須賀市 | スポーツを核としたまちづくり(横須賀モデル)~誰もがスポーツに親しみ、夢や選択肢がひろがるまちへ~ |
12 | 長野県東御市 | 標高差1,500mの地勢を活かしたスポーツ・ツーリズムの創出 |
13 | 静岡県磐田市 | スポーツで心と体を元気に ~市民のウェルビーイング向上を目指して~ |
14 | 静岡県藤枝市 | サッカーを核としたスポーツ・健康まちづくりの推進~夢と希望あふれる幸せになるまち藤枝~ |
15 | 愛知県安城市 | まちづくりマインドを醸成!安城市発、スポーツをフックにするまちづくり |
16 | 愛知県美浜町 | スポーツを核としたまちづくり事業 スポーツでつなぐ、美浜の未来 |
17 | 三重県松阪市 | 「伝えたい!スポーツのチカラ」プロジェクト |
18 | 大阪府堺市 | 「サイクルシティ堺」への挑戦~堺の自転車文化を未来へ継承~ |
19 | 和歌山県田辺市 | スポーツ合宿を核とした交流人口創出計画 |
20 | 山口県萩市 | 陸上競技を核とした関係人口創出による持続可能なまちづくり~スポーツによる好循環促進事業 ~ |
21 | 愛媛県今治市 | ヒト・モノ・健康・スポーツ「おもいをつなぐ」プロジェクト |
22 | 高知県土佐町 | “湖の駅” を核とした新事業創出+ITフル活用のビジネスインフラ構築でまちづくりに貢献 |
23 | 長崎県川棚町 | 始動 ホッケーからつながる「まち」「ひと」プロジェクト ~The Key is hockey~ |
24 | 宮崎県新富町 | サッカーによるまちづくり事業の推進!~新しい人の流れをつくる 新富町地域活性化~ |
25 | 鹿児島県大崎町 | スポーツが結ぶ人・夢・おおさき~all sports all player all supporter~ |
26 | 沖縄県石垣市 | スポーツツーリズムとスポーツマッチングで活力溢れるまちづくりプロジェクト |
長官とのトークセッションでは思わぬゲストも登場
式典では表彰に先立ち、室伏長官と特別ゲストを招いての「トークセッション」が行われました。ゲストは増田明美さん(スポーツジャーナリスト・大阪芸術大学教授)、EXILE HIROさん(株式会社LDH JAPAN 代表取締役会長兼社長 CEO/CCO)、潮田玲子さん(元バドミントン日本代表選手)の3名。トークテーマ『体を動かし、ヒトと地域を繋ぐ「まちづくり」のミライ』に合わせ、それぞれ自身の経験を踏まえた「まちづくり」の取組、運動やスポーツに親しむ「場」についてトークが繰り広げられました。
(写真)トークセッションの様子(左から増田明美さん、EXILE HIROさん、潮田玲子さん、室伏スポーツ庁長官)
トークショーでは昨年同様、増田明美さんがファシリテーターとして、長官やゲストの話を引き出してくれました。
(写真)増田明美さん
エンタテインメント活動以外にもLDHは地域イベントにも積極的に関わるというEXILE HIROさん。地方イベントでリハーサルからアーティストと地元の若者たちがステージで一緒に踊り、連携しながら本番のステージを作り上げる姿に感銘を受けているといいます。地域イベントを通じてダンスが踊りやすい“まちづくり”に繋げていけるように、これからも活動を継続したいと語りました。
(写真)EXILE HIROさん
子育て中の潮田玲子さんは、子どもたちにどのようにスポーツの楽しさを伝えていけばいいのか模索しているといいます。自身の経歴から競技思考になりがちではあるものの、一流の選手を目指すよりも、スポーツを通じていろいろなことを学びながら、心身ともに健康になるようにスポーツを楽しんで欲しいと語りました。
(写真)潮田玲子さん
室伏長官は現役時代の練習を振り返り「楽しくないと競技は続けられないです」とスポーツの基本は楽しむことだと語ります。日常のウォーキングや競技の試合でも楽しみながら行って欲しいといいます。午前中に行われたまちづくり学生コンペティションの中でも「スポーツを楽しむ」ことをテーマに入れた発表が多く素晴らしかったと語りました。
(写真)室伏長官
トークショーの途中、会場に来ていたリオ五輪金メダリスト(レスリング女子69kg級)の土性沙羅さんが紹介されました。土性さんは今年から松坂市役所に入職し、今回、自治体職員の1人として表彰式に参加。入職した理由や現在携わっているスポーツ振興について、増田さんからの質問に丁寧に答えてくれました。室伏長官は、土性さんのアスリートのセカンドキャリとしても注目していますとエールを送りました。
(写真)元オリンピアンで現在松坂市役所職員の土性沙羅さんと増田さん
学生コンペ「スポーツ庁長官賞」受賞グループによるプレゼンテーション
今回、午前中に同会場で行われていた「スポーツ・健康まちづくりデザイン 学生コンペティション2023」で、アイデア部門、デザイン部門のそれぞれでスポーツ庁長官賞を受賞した学生グループが提案したアイデアを披露。自治体の首長らや特別ゲストを前にやや緊張の面持ちの学生の皆さんでしたが、見事にスポーツを活かした“まちづくりデザイン”の提案を行い、会場から大きな拍手が湧き上がるとともに、特別ゲストからも応援のお言葉をいただきました。いつか学生の皆さんの提案を取り入れる自治体が現れるかもしれません。プレゼンテーションの内容については学生コンペティション2023記事をご覧ください。
(写真)左からスポーツ・健康まちづくりデザイン 学生コンペティション2023のスポーツ庁長官賞受賞者「アイデア部門」の九州共立大学の皆さん、「デザイン部門」の関西大学大学院の皆さん
「スポまち!ピックアップ」に選ばれたのは愛知県安城市
式典ではイベントのハイライトである全国の「スポーツ・健康まちづくり」に取り組もうとする各自治体への表彰が執り行われ、表彰後は首長のコメントが述べられました。式典の最後に、室伏スポーツ庁長官が後日訪問する自治体を抽選で決める「スポまち!ピックアップ」が行われ、今年は愛知県安城市が選ばれました。
(写真)「スポまち!ピックアップ」に今回選ばれたのは愛知県安城市
まとめ〜スポーツによる「まちづくり」を応援します!
「スポまち!長官表彰」も3回目を迎え、「スポーツ・健康まちづくり計画」が広く周知されてきたように思われます。各自治体の取組内容も地域資源を活かした新たな視点が盛り込まれるなど、スポーツの価値の高まりも感じます。スポーツ庁では引き続き取組を行う自治体を応援していきます。
●本記事は以下の資料を参照しています
「スポーツ・健康まちづくり」優良自治体表彰2023(2023-11-01閲覧)
オリパラ・レガシー! スポーツ×地方創生、まちづくり!(2023-11-01閲覧)
スポーツ・健康まちづくりを応援する「スポまち!長官表彰2022」(2023-11-01閲覧)