Sport for Tomorrowを通じてASEAN Para Gamesに審判団を派遣!

Sport for Tomorrowを通じてASEAN Para Gamesに審判団を派遣!

7月13日、室伏スポーツ庁長官は、カンボジアで開催された「第12回 ASEAN Para Games」に日本から派遣された審判団の表敬訪問を受けました。審判団はスポーツ庁が推進する国際貢献プログラム「Sport for Tomorrow(以下SFT)」を通じて派遣され、陸上競技、パワーリフティング、水泳、車いすバスケットボールの4競技で大会をサポートしてきました。室伏長官は、「日本ASEAN友好協力50周年の年に、カンボジアに日本から応援に行く重要な任務を担っていただきました。審判あってのスポーツ。心から敬意を表します」と話しました。人的な交流に加え、現地で縁の下の存在として大会を支えたその活動についてご紹介します。

ASEAN Para Gamesと派遣審判団のあらまし

ASEAN Para Gamesとは、東南アジア諸国連合(ASEAN)のメンバー国等が参加する障害者スポーツ競技大会です。ASEAN地域の障害者スポーツの発展と促進を目的として2年に1度ASEANメンバー国で開催され、総勢1,500名以上の選手が参加します。今年6月には、「第12回 ASEAN Para Games」がカンボジアにて開催されました。参加国は、ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、東ティモール、ベトナムの計11カ国でした。

大会運営を行うカンボジア ASEAN Para Games大会組織委員会からの要請を受け、日本から審判団が派遣されることとなりました。今回派遣を行ったのは前述4競技で、6月3日から9日にかけて実施された大会において、陸上競技19人、パワーリフティング2人、水泳12人、車いすバスケット3人の合計36人が審判として活躍しました。審判団の多くが東京2020大会での活動実績を有していました。こうして、日本ASEAN友好協力50周年を迎える記念の年に、日本とASEANとの間でスポーツ国際協力が行われることとなりました。

第12回 ASEAN Para Gamesの派遣審判団:イメージ写真:第12回 ASEAN Para Gamesの派遣審判団

審判団によるASEAN Para Gamesの振り返り

今回、審判団を代表して、4人に派遣に参加した経緯や大会の感想などをお聞きしました。

スポーツ交流を通じて日本は世界の平和に貢献を

櫻井三重さん:イメージ1

櫻井三重(さくらい・みつしげ)
一般社団法人 千葉県水泳連盟/一般社団法人 日本パラ水泳連盟

《プロフィール》
2009年、60歳での勤務先定年を迎える前年に公益財団法人 日本水泳連盟公認基礎水泳指導員、公認競技役員資格、2018年には世界パラ水泳連盟公認競技役員資格を取得。全国大会から地方大会まで各レベルでの水泳競技審判員を務める。

櫻井三重さん:イメージ2

櫻井三重さんは、派遣された4競技の審判団の中でも最高齢の73歳。審判員を始めたのが定年退職前年からという経歴をお持ちの方です。東京2020パラリンピック大会で国際大会での審判員を初めて担い、今回のASEAN Para Gamesが初の海外遠征となりました。開催国カンボジアの感想を伺ったところ、昭和30〜40年代の高度成長期だったころの日本と重なる部分が多く、国としての活気を肌で感じたそうです。

「東京2020大会の経験を活かしながらもASEANの審判技術を高めていくような話がありましたが、水泳に関しては選手も競技役員も非常にレベルが高いと感じました」と櫻井さんは語ります。

また、国際大会で審判員を務めた感想をお聞きすると、「近年、国同士の争い事が増えています。争いではなく、各国と交流していくことによって国民と国民との理解は深まり、そうした交流にこそスポーツが求められているのではないかと思っています。日本はスポーツの交流を通じて平和の実現に貢献して欲しいですね」と話してくれました。

審判より先に選手を強化して裾野を広げる

吉田進さん:イメージ1

吉田進(よしだ・すすむ)
特定非営利活動法人 日本パラ・パワーリフティング連盟HPD

《プロフィール》
大学卒業を機に本格的にパワーリフティングを始め、会社員との二足の草鞋で全日本パワーリフティング選手権5回優勝などの成績を収める。パワーリフティング選手であった奥様と一緒に選手育成や協会理事など競技普及にご夫婦で尽力。

吉田進さん:イメージ2

国内外でパワーリフティング競技普及に務めてきた吉田進さんは、昨年のインドネシア大会に引き続き、審判員および競技運営のサポート役として大会を支えてきました。会場設備や競技機材の不足などはありましたが、地元スタッフとフレンドリーな関係を築き、連携を取ることで4日間を乗り切れたそうです。他国の選手にも声援を送り合う姿も見られ、アジア勢の仲の良さを感じたといいます。

「審判員も大事ですが、その前に選手の強化を行って素晴らしい選手を数多く輩出することが一番だと思います。選手がいなければ大会もできないし、審判だってできません。カンボジアではパラパワーリフティングが始まったばかりなので、まず選手育成に力を入れ、並行して審判員やコーチの充実を図るのがいいのではないでしょうか。また、アジアのパラスポーツを管轄する団体に、もっと日本からの支援を強化して、日本とアジア諸国が一緒になってアジアのパラスポーツを高めていくべきではないかと考えます」と語ってくれました。

選手が不利益とならないよう正確なルールを伝えていく

橋本和秀さん:イメージ1

橋本和秀(はしもと・かずひで)
一般社団法人 日本パラ陸上競技連盟

《プロフィール》
大学時代は陸上競技の選手として活躍。卒業後は航空会社の健康づくりプログラムや、労働組合のレクリエーションリーダーの養成等指導する会社に勤め、2005年から東京都多摩障害者スポーツセンターに従事、本格的に障害者スポーツ支援の道に進む。現在、日本パラ陸上競技連盟競技運営委員会の技術競技部部長として、パラ陸上の発展に向けて尽力する。

橋本和秀さん:イメージ2

東京2020大会で陸上競技の審判員を務めた橋本和秀さんは、今回、自ら選ばれた理由として東京2020大会での競技運営のレガシーをカンボジアの人に伝える役割を挙げ、実際に現場での急な変更などもこれまでの経験を活かしてコミュニケーションをとりながら対応できたと言います。

「カンボジアの人たちはとてもフレンドリーでこちらが教えたことを一生懸命覚えてくれました。カンボジア陸連の会長自らが実働部隊に入って働いていたのには驚きましたが、大会期間中、競技運営について非常にたくさんの話ができましたので、カンボジアはこれから伸びてくるのかなと思います。今後もうまく交流ができればいいいですね」。

審判員の役割について橋本さんは、「近年、公正なジャッジをするため数多くのカメラが設置されるなど環境が整備されていますが、役員であっても人間なので誤審をすることがあります。誤審の可能性があれば確認のために1回止めて確かめ、選手に不利益にならないことが大切です。私達自身もさらにルールの理解をしておかなければいけませんし、いち早く選手たちに最新のルールを正確に伝えていかなければいけません」と話してくれました。

国際審判員を目指す私には貴重な体験

斗沢祐香さん:イメージ1

斗沢祐香(とざわ・ゆうか)
東京海上日動火災保険株式会社

《プロフィール》
在学中に日本車いすバスケットボール審判C級ライセンスを取得。大学卒業後、仕事と審判員を両立しながら国際審判員を目指しスキルアップに挑み、今回の第12回 ASEAN Para Gamesが初めて海外で審判員としての参加となった。

斗沢祐香さん:イメージ2

試合で審判を行った際に、観客の熱量が非常に高く、国全体で応援しているような雰囲気だったと言うのは斗沢祐香さん。初めての海外での審判経験は学ぶものが多かったそうです。

「まだ国際審判員になるための資格がない段階でありながら、ASEAN Para Gamesへ派遣していただき、主審まで経験させてもらい、本当に貴重な体験でした。日本から同行した熟練の審判員はASEANの審判のレベルは非常に上がってきていると言っていました。海外の審判員は非常にフレンドリーな方が多く、いろんな情報交換ができてよかったと思います。選手と対等にルールを介して対話することで、選手、審判員、お互いの技術向上に繋がるのではないでしょうか」と斗沢さん。

いま国内で活動する審判員の中で国際資格を取得して海外に出て行こうとする人が少なく、もっと海外に目を向けて欲しいと言います。特に次世代を担う若手が増えることを期待しており、自分自身が先頭に立って地域や日本に貢献していきたいと語ります。

Sport for Tomorrowで東京2020大会のレガシーを国際交流に活かす

これまで204の国・地域の約1,300万人にスポーツの価値を届けてきたSFTでは、今後も審判団派遣のような東京2020大会のレガシーを活かし、国内外のスポーツや社会におけるニーズや課題に向き合い、官民連携によるスポーツを通じた国際交流・協力をさらに推進していきます。現在、SFTでは新規会員を募集していますので、この記事で興味を持たれたら、スポーツ・フォー・トゥモロー・コンソーシアムのホームページもぜひご覧ください。

https://www.sport4tomorrow.jpnsport.go.jp/jp/

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●本記事は以下の資料を参照しています

Cambodia 2023(2023-07-01閲覧)
スポーツ・フォー・トゥモロー - SPORT FOR TOMORROW(2023-07-01閲覧)

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